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粘菌-その驚くべき知性  中垣俊之

昨年だったか、NHKの「爆問学問」で「単細胞は天才だ!」という「粘菌」についての番組をやっていて、非常に面白かったのを覚えている。その時のホスト役の先生が本書の著者だ。著者の本を本屋さんで見つけたとき、その番組が思い出されたので、読んでみた。TVの番組と比較して思ったことは次の2点だ。1つは、著者による粘菌の研究が、TVの番組では思いもしなかった「知性」というものに対する深い考察の元に行われているということだ。TVの番組は、確かに面白かったが、著者が何を目指して研究を進めているのかがほとんど描かれていなかった。本書を読むとそれが良く判るし、「知性」というもの対する日本と西洋の考え方の違いなども、大変興味深いものだった。もう1つは、本書で紹介されているような科学実験について、TVだと視覚的に理解できるものが、文章ではなかなか難しいということだ。TVでやっていた実験と同じ実験を説明するのに、TVならば一瞬でわかることを文章では数ページで説明しなければならない。当然そのインパクトはTVの方が断然勝っている。そんなこんなで、本とTV、2つの情報媒体の特徴の違いが良く判って面白かった。(「粘菌-その驚くべき知性」中垣俊之、PHPサイエンス・ワールド新書)
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