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狂人三歩手前 中島義道

著者の本はこれで3冊目、立て続けに読んでいる感がある。中毒になってしまったようでもあるし、自虐的な文章がただ面白いだけかもしれない。どの本も、テーマが題名から大きくはずれていくため、結局は似たような内容といえるので、いずれ飽きるだろうという予感があるし、実際少し辟易としてきているのだが、依然といて読んでいて楽しいという状況から抜け出せないでいる。不思議な現象だ。
 本書のなかで、自分の学術的功績として「時間というものを私のような考えた人は他にはいない」と言っておきながら、「他に誰もそう考えないということはおそらく間違っているのだろう」という箇所には、思わず吹き出した。また、本書の中で著者は、「私の本の読者は私の本を読み続ける傾向がある」とか「私はそうした私の本の読者が大嫌いだ」と言っている。なんだか見透かされたような気がするが、著者に嫌われて本望という気もする。(「狂人三歩手前」中島義道、新潮文庫)
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