書評、その他
Future Watch 書評、その他
エゴイスト入門 中島義道
本書は2007年に刊行された本の文庫化で、今年の6月に発売になったものだ。本屋さんで並んでいる本を適当に見繕って読んでいるだけなのだが、ようやく内容が最近のものになってきた。著者によれば、これまでに著者が書いた本は39冊にも及ぶとのことだ。
内容は、言い方は悪いが「相変わらず」、著者の快不快を巡る奮闘の顛末や身の回りに起こる出来事に関する文章が中心で、これまでに読んだ本と似たようなものなのだが、何故か何度読んでも面白い。ただ印象としては、最近のものになればなるほど、かつてのような荒々しい記述が影を潜め、社会との軋轢を乗り切る対処法のような穏やかなものに少しずつ変化してきているようにも思われる。著者が不快と感じるものについて、著者はその不快の原因そのものよりも、その不快さに対して何もしない人、またそういう人たちに向けた言葉がきちんと受け止めず「自分には関係ない」と無視する人々に対して一層厳しい目が向けられている。特に印象深かったのは、著者が大学の最初の授業で毎年行うという社会実験の話、知人の自殺未遂に関する話の2つだ。後者は、既に読んだ本で何度か取り上げられたものだが、本書ではその経緯が非常に細かく述べられている。本書では、こうした文章を書くことで著者が心のバランスを保とうとしていることが伝わってきて痛々しい。(「エゴイスト入門」中島義道、新潮文庫)
内容は、言い方は悪いが「相変わらず」、著者の快不快を巡る奮闘の顛末や身の回りに起こる出来事に関する文章が中心で、これまでに読んだ本と似たようなものなのだが、何故か何度読んでも面白い。ただ印象としては、最近のものになればなるほど、かつてのような荒々しい記述が影を潜め、社会との軋轢を乗り切る対処法のような穏やかなものに少しずつ変化してきているようにも思われる。著者が不快と感じるものについて、著者はその不快の原因そのものよりも、その不快さに対して何もしない人、またそういう人たちに向けた言葉がきちんと受け止めず「自分には関係ない」と無視する人々に対して一層厳しい目が向けられている。特に印象深かったのは、著者が大学の最初の授業で毎年行うという社会実験の話、知人の自殺未遂に関する話の2つだ。後者は、既に読んだ本で何度か取り上げられたものだが、本書ではその経緯が非常に細かく述べられている。本書では、こうした文章を書くことで著者が心のバランスを保とうとしていることが伝わってきて痛々しい。(「エゴイスト入門」中島義道、新潮文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )