書評、その他
Future Watch 書評、その他
蒼林堂古書店へようこそ 乾くるみ
同じ著者の本「イニシエーションラブ」とは対極にあるような内容だ。拍子抜けするくらい軽い内容の短編が並んでおり、種も仕掛けもない。最後に大きな仕掛けらしきものはあるが、それで全体の面白さが増すかといえば、そうでもない。また、それぞれの短編の最後に、その短編のストーリーに関連した「ミステリー案内」が挿入されている趣向は面白いが、肝心の短編のミステリー度が低すぎて、短編がミステリー案内をするための導入部にすぎないようでさえある。
また、連作短編集にありがちなことだが、毎回、登場人物と物語の背景が繰り返し説明されているのが、かなり煩わしい。雑誌等での連載中には、前の短編を読んでいなくてもそれなりに背景が理解できるようにという配慮が必要なのは判るが、1冊の本にする際には、順番に読んでいるのだから、そうした説明の重複部分をカットして、それぞれの短編のつながりを良くするくらいの配慮を当然するべきだと思う。「発表当時の文章をそのまま」というような理屈が通る場合もあるだろうが、本書の場合はその部分が読む気を失わせる役割しか果たしていない。
「イニシエーション‥」の著者ということで、読者の期待するハードルが非常に高いだけに、こうした読んでいて気持ちよいだけの作品では、読者は満足できないだろう。(「蒼林堂古書店へようこそ」乾くるみ、徳間文庫)
また、連作短編集にありがちなことだが、毎回、登場人物と物語の背景が繰り返し説明されているのが、かなり煩わしい。雑誌等での連載中には、前の短編を読んでいなくてもそれなりに背景が理解できるようにという配慮が必要なのは判るが、1冊の本にする際には、順番に読んでいるのだから、そうした説明の重複部分をカットして、それぞれの短編のつながりを良くするくらいの配慮を当然するべきだと思う。「発表当時の文章をそのまま」というような理屈が通る場合もあるだろうが、本書の場合はその部分が読む気を失わせる役割しか果たしていない。
「イニシエーション‥」の著者ということで、読者の期待するハードルが非常に高いだけに、こうした読んでいて気持ちよいだけの作品では、読者は満足できないだろう。(「蒼林堂古書店へようこそ」乾くるみ、徳間文庫)
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