goo

ヒトリシズカ 誉田哲也

作者の作品である「ジウ」の少女版という趣の作品だ。恐ろしい考えを持ちながら自分ではそれと気づかない1人の少女の物語。解説などには連作短編集とあり、体裁もそのようになっているが、それぞれの話のつながりは明確でしかも話の構成がかなり凝っている。話を1つ1つ読むごとに、おぼろげだった主人公の姿が徐々に立ち上ってくる。ようやくそういうことだと判ったところで、主人公がそれまでと全く別の顔を見せて話は終わる。最後に見せた意外な顔が、主人公にとっては悪意とは別の次元の行動だったということが判り、何とも言えない悲しみを感じる。話の内容からして続編を期待できないのが残念だ。(「ヒトリシズカ」 誉田哲也、双葉文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )