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ブラディ・ローズ 今邑彩

バラの花が咲き乱れる洋館に住む浮世離れした生活をおくる人々。そこで連続して起こる不可解な自殺事件。本格ミステリーとしては申し分ない設定だが、内容は本格ものというよりは心理劇に近い。事件そのものも、登場人物の主観で語られるので、どこまでが事実なのかが判然としない。危ない目に合う主人公に「早く警察に届けてはどうか?」とアドバイスしたい場面の連続だが、何故か主人公にはそうした発想がない。異様な人々との生活の中で、生活感そのものが薄れてしまったというところなのだろうが、もう少し警察をしんじてあげても良いのにと思いながら読み終えてしまった。(「ブラディ・ローズ」 今邑彩、中公文庫)

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