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国語教科書の闇 川島幸希

高校の現代国語の教科書に不思議なことが起きているという。ほとんど全ての教科書にほとんど同じ作品が掲載され、それが「定番教材」と言われているというのだ。「定番教材」とは具体的には芥川龍之介の「羅生門」、夏目漱石の「こころ」、森鴎外の「舞姫」などで、、誰かが強制したりしたわけでもないのに、何故か全ての教科書にこの3作品が掲載されるようになったという。以前は、夏目漱石であれば「草枕とか、森鴎外であれば「高瀬舟」とか他の作品が掲載されていたがそれらが次第に淘汰され、衣までの完全にこの3作品が圧倒するという状況になっているらしい。本書では、この事実を様々な角度から分析し、その原因を探ろうとしている。その結果判ったことは、かなり意外かつ複雑だ。著者が指摘するように、これらの3作品は「かなり暗い小説」ばかりであり、こうした風潮を打破していくべきという意見には大いに賛成したい。(「国語教科書の闇」 川島幸希、新潮新書)

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背表紙は歌う 大崎梢

本に関わる、書店、取次、出版社、作家等の事情が良く分かる職業小説。最近こうした本が多いので、あまり期待しないで読んだのだが、これがかなり面白かった。特に「取次」という完全な裏方の職業にスポットをあてた話や、文学賞のノミネートから受賞決定までが克明に描写された話などは、全く知らなかったことばかりで、なるほどなぉと感心してしまった。短編集で、1つ1つの話のバリエーションも面白いし、それぞれのストーリーのなかに小さなミステリー要素もちゃんと織り込まれていて、こうした職業小説としては出色の1冊だと感じた。登場人物が喜んだり悲しんだり怒ったりしながら生き生きと働く様子を楽しみながら、全篇を通じて伝わってきてしまうのが「出版業界の危機」というのが何とも悲しい。(「背表紙は歌う」 大崎梢、創元推理文庫)

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