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ガラスの街 ポール・オースター
1本の間違い電話を受けた主人公が最後にどうなってしまうのか、その道筋の途中にはいくつもの分岐点があり、主人公の行動は明らかに奇妙なのだが、読んでいると、自分もおそらくそうするかもしれないという気がしてくる。克明に描写されるNYマンハッタンの情景は、懐かしいようでもあり、完全に迷子になってしまったような感じでもあり、実に奇妙な感覚だ。現代のアメリカ文学らしい閉塞感の漂う1冊だ。(「ガラスの街」 ポール・オースター、新潮文庫)
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凍花 斉木香津
ある悲劇的な事件について、犯人探しもトリックもなく、ただただ「何故」だけを追いかけていく物語だが、ミステリーと呼ぶにはあまりにも悲しい話だ。人には表と裏があるという言葉さえ、そう単純ではないよと跳ね返されてしまいそうな内容で、その着地点も一見かすかな希望を見せているようだが、本当に希望はあるのだろうかと思ってしまう。読後感にしても、後味が良いとか悪いとかの次元では語れない重さだ。(「凍花」 斉木香津、双葉文庫)
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