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金正恩 高英起 

類似本が何冊も出ていて既に何冊かそれらを読んでいるが、それでもこうした本を読んでいるといくつか新しい発見がある。本書で特に驚いたのは、北朝鮮と中国の関係のくだりだ。北朝鮮の海軍が中国の漁船を拿捕して、その乗組員の身代金を中国側に要求したという事件があったらしい。これを読むと、中国と北朝鮮の関係について、中国が北朝鮮を「弟分」としてその行状を苦々しく思いながらも何とか守ろうとしているというような図式ははたして本当なのだろうかという疑問が大きくなる。本書の言うように、中国にとっての北朝鮮は、米国に守られた韓国との緩衝地帯という戦略的なドライな意味しかないというのが本当のところかもしれない。それ以外に、金正恩の兄(金正日の次男)が後継者にならなかった理由なども本書で初めて知った。細かい話だが、本書は、知らなかった事実をいくつも教えてくれる良本だ。(「金正恩」 高英起、宝島社新書) 

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