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紳士の言い逃れ 土屋賢二

本シリーズは雑誌に連載されているコラム記事をまとめたものだが、本書ではちょうど「東日本大震災」が起きた頃の記事が収められている。直後の記事ではいつもの軽妙な語り口は完全に封印されていて、改めてあの時の「衝撃の大きさ」を思い出してしまう。その後の記事を読み進めていくと、徐々に通常の語り口に戻っていくのだが、それでも何かどうしても戻りきれない部分を感じる。内容的には「内向き」のテーマが多くなったような気もする。それに、本書ではおなじみの「ツチヤ師」が一度も登場しないのだが、これは単なる偶然なのだろうか。本書の中では、「クリケット」をやめさせる方法の話が非常に面白かった。この話は、著者の創作なのか何かの引用なのか知らないが、創作だとしたらびっくりだ。(「紳士の言い逃れ」 土屋賢二、文春文庫)

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