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謎と暗号で読み解くダンテの「神曲」 村松真理子

ダン・ブラウンの新作「インフェルノ」の刊行に合わせて刊行され、出版社も同じ角川書店、「インフェルノ」を意識したような題名と、正真正銘の「関連本」なのだが、中身は一味も二味も違った面白さだった。ダンテという人物の略歴、「神曲」という作品の構成や全体の内容がコンパクトにまとめられていて有難い。しかもそればかりでなく、「神曲」という作品の歴史的な意義、何故この作品が「俗語」で書かれたのかという謎の解明など、読んでいて興味は尽きない。特に書かれて700年も経った今でも、イタリア人はこの作品を普通に理解できるということの意味についての解説は、目からうろこだった。また本書は、こうした昔の作品を考えるときに、今の状況との違いを考慮することの大切さを教えてくれる。読んだ後、随分賢くなった気がする1冊だ。(「謎と暗号で読み解くダンテの『神曲』」 村松真理子、角川ONEテーマ21)

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