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イスラム過激派 宮田律

現在世界の色々なところで紛争を起こしている「イスラム過激派」について丁寧に解説してくれる本書。紛争に、他の宗教との衝突である「ジハード」と、同じイスラム教の宗派間の争いである「フィトナ」の2種類があり、現在の紛争のかなりの部分が後者であるいうことにまず驚かされた。また、この「フィトナ」増大の背景に、「アラブの春」の果実を巡る対立、所得格差の拡大、アメリカに対する立場を巡る対立の先鋭化等があるということも、なるほどと思わされた。最後の「日本にできること」などの記述も考えさせられる内容だ。1つだけ難点を言えば、現代の解説の記述だけでなく、その起源にまで遡った解説は、親切と言えば親切なのだが、固有名詞になじみのない素人には、出てくる固有名詞が増えてしまうという点で、やや判りにくさを助長してしまっているような気がした。(「イスラム過激派」 宮田律、角川ONEテーマ21)

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