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浮幽霊ブラジル 津村記久子

最近著者の名前をよく目にするなと思って調べてみたら2009年に芥川賞を受賞した作家だった。今まで全く名前も知らず、もちろん作品を読んだこともなかったが、本書が書評で取り上げられていたので読んでみることにした。読んでみると、不思議な面白さに圧倒された。普通の生活の中で出会った一こまを切り取ったような作品から、SFのような作品までがごっちゃになったような短編集だが、それでいて何か一つ芯が通ったように、著者の独特の文体と感性が全体に貫かれていて、独特の世界がある。特にSFっぽい作品の「地獄」と「浮幽霊ブラジル」の2編は秀逸で、読んでいるだけで思わずほくそえんでしまった。とにかくこんなに面白い作家に出会えてよかったなぁというのが最大の感想だ。(「浮幽霊ブラジル」 津村記久子、文芸春秋社)

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