goo

片翼の折鶴 浅ノ宮遼

最近流行の医療ミステリーだが、かなり医療の専門知識に立脚したハードな内容で、いわば「ハード医療ミステリ-」という新しいジャンルの嚆矢ではないかとも思える一冊だ。それでも医療制度に関する問題点の指摘だけでなく医療に携わる人々の苦労や苦悩といったところにも焦点があてられているので、医療の門外漢こそ読むべき内容という感じがする。それぞれの短編に、一般人がそうだと思い込んでいる誤解に基づいた意表を突いた真相のどんでん返しが用意されていて、そのあたりも大変ためになるような気がする。とにかく、正しい医療の診断とか適切な治療とかがいかに難しいかが判る、とても心に残る作品だった。(「片翼の折鶴」  浅ノ宮遼、東京創元社)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )