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Yangon Pressで読み取る現実と真実 栗原富雄
ミャンマー関連の本は、探せば色々出てくるが、多くは語学の本だったり、昔の歴史を扱った本だったりで、しかもかなりマニアックな本が多く、ミャンマーの今を伝えてくれる本、読みたいと思う本はなかなか見つからない。そんな中で、本書はネットで「ミャンマー」と検索して出てきて、久しぶりに読んでみたいと思った1冊だ。本書は、ヤンゴンで日本人向けに刊行されている情報誌の編集長によって書かれた本で、内容は、その情報誌の「巻頭エッセイ」とミャンマーで活躍する女性へのインタビューの「特集記事」を一冊にまとめたものである。著者がヤンゴンに赴任して、その情報誌を発行し始めたのが2011年というから、それはちょうど自分がミャンマーと関わりを持ち始めた時期と一致する。ここに書かれた情報は、全て自分がミャンマーに行くようになってからの話であり、ミャンマーで起きていた出来事だ。従って、自分が現地で感じているミャンマーと本書に書かれたミャンマーの違いは、即ち、年に1回出張でミャンマーを訪れるだけの人間の感じるミャンマーと、そこにずっと滞在している人が知るミャンマーとの違いだ。その隔たりの大きさに驚かされることと、「そうそう」と強く共感出来ること、この二つが自分にとっての本書の魅力だ。また本書の後半部分のミャンマー女性へのインタビュー特集記事は、前半のエッセイとは違って、自分の知らないことが多い点で、よりためになって面白かった。大きく変貌するミャンマーの今を知るために必読の一冊だと思った。(「Yangon Pressで読み取る現実と真実」 栗原富雄、人間の科学社)
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