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今だけのあの子 芦沢央

最近著者の本を立て続けに読み始めた。本書を読み始めた段階で、既に手元にはあと2冊著者の未読の本を入手済。順番に読み進めていくことにしたい。本書は、著者の本としては3冊目になる。本書では、これまでの2冊とは少し様相が違って、あまり大きな事件は起きない。収められた5つの短編に共通するのは、ある他人の不可解な行動が原因で子ども同士大人同士の人間関係が大きく損なわれるといった、どちらかというと日常の些細ないざこざだ。やがてその行動が持つ本当の意味が明らかにされて、意外な真相に驚かされる。その意外性も楽しいが、本書の真骨頂は、そこに行き着くまでの話の構築の素晴らしさだ。最近読んだ本の中でも、話の構築の丁寧さは色々な作家の中でも群を抜いている気がする。これは、今までに読んだミステリー色の強い作品にも共通している著者の作品の特徴だと思う。次を読むのがますます楽しみな作家だ。(「今だけのあの子」 芦沢央、ミステリ・フロンティア)

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