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罪の余白 芦沢央

著者の本は4冊目。これまでの3冊は全て短編集だったので、著者の長編を読むのは初めてだ。著者の作品リストを見ると本書が一番最初に載っているので、デビュー作かそれに近い作品なのだろう。内容は、娘の死に直面した主人公が、その真相を追いかけるというもので、特に変わった趣向がある訳ではないが、登場人物の心情が読む人の心に刺さるような重厚な一冊だった。ストーリーに膨らみを持たせるために登場人物がやたらと多くなってしまう小説が多いなか、本書の登場人物はほぼ5人と大変少ない。それが、それぞれの人物の心の動きを読者の心にフォーカスさせる効果を高めているのだろう。内容と構成がうまくマッチした作品だと感じた。(「罪の余白」 芦沢央、角川文庫)

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