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盤上の向日葵 柚木裕子

将棋界を舞台にしたミステリー。昨年来、藤井棋士の活躍で将棋ブームが起きているが、本書にとっては、タイミングが良いというよりも、便乗本のように思われてしまっては不本意という感じではないかと思う。読者の関心は、一人の棋士の過去と、犯罪現場に残された証拠品を執拗に追いかける刑事の行動が交互に描かれていて、それがどこで交差するのかに尽きる。ある意味単純で意外性は少ないが、過去と現在が運命のように導かれていく展開の見事さは前作同様で、それこそが著者の真骨頂だと納得できる一冊だ。(「盤上の向日葵」  柚木裕子、中央公論社)

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