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精神鑑定はなぜ間違えるのか 岩波明

戦後の五つの凶悪事件の経緯と、その事件の被告・犯人の精神鑑定の是非を解説してくれる一冊。実際の鑑定結果と著者の見立てを比較すると、判決の内容に大きな影響を与えたということではないものの、その違いの大きな違いに驚かされる。本書に書かれているのは、鑑定が間違っていた事例ではなく、鑑定という作業そのものが抱える不確かさ曖昧さという問題点だろう。その根底にあるのは、鑑定を進める際の情報の不足、精神医学の学問としての未成熟さ、その犯罪に対する世間の関心に由来する鑑定医へのプレッシャーなどだ。なかなかスッキリした解決策を見つけるのは困難だが、精神鑑定をによる減刑の適用を限定的なものにしていくという流れはある程度やむを得ない気がする。(「精神鑑定はなぜ間違えるのか」 岩波明、光文社新書)

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