goo

百貨の魔法 村山早紀

経営危機を噂される地方都市の百貨店を舞台にした小説。戦後の復興、そして日本人が追い求めた豊かな暮らしを牽引してきた百貨店という小売形態が、今色々な意味で転換点を迎えている。そうしたなかで、世の中の大きな流れには従いつつも、昔からの良さを少しでも守ろうとする人たちの奮戦記といっても良いだろう。もちろん、おもてなしの精神や従業員を大切にする社風だけで物事が好転することはないだろうし、それらを守り続ける妙案が提示されているわけではないが、何とか守ろうとする人々の努力のなかから、少しだけ希望が見え隠れしているような気がする。(「百貨の魔法」 村山早紀、ポプラ社)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )