goo

妖盜S79号 泡坂妻夫

作者独特の人を食ったような謎解きミステリーが12編も楽しめる一冊。主なあらすじは、神出鬼没の怪盗とそれを追う2人の刑事の知恵比べといったところだが、作者の作品だけに一筋縄ではいかない変化球のような話が多い。怪盗の正体も最初から分かっているようでよく判らないし、怪盗を追いかける刑事たちも有能なのかそうでないのか判らないので、なかなか最後の着地点が読めないまま、様々な事件が進行する。最後の結末は、何となくそれで丸く収まったような気がするし、読んでいる時の独特な楽しさは流石という感じだ。かなり昔の作品の復刻だと思うが、全く古さを感じさせない。こうした復刻は本当に有難い。(「妖盜S79号: 泡坂妻夫、河出文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )