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甦る殺人者 知念実希人
本書はかなり前に本屋さんで平積みになっているのを見つけ面白そうだったので何気なく購入したのだが、買った後にこれが人気シリーズの第8作目だということがわかり、既刊の7冊、短編5冊・長編2冊をあわてて読むことにした。買った当時、著者の本はこのシリーズではない1冊だけ読んでいて、それがとても面白かったという記憶だけがあった。それから本シリーズを読み続け、ようやく最新刊である本書に追いついた形だ。言い換えれば、本書を買ったおかげで、このシリーズを全て読むことになったということになる。ここまでずっと読んできて、一番すごいのは、著者の作品が、現役のお医者さんということもあるのだろうが、作風は重厚な作品やライトノベル風の軽い作品等色々あるものの、全て医療ミステリーであるという点では全くぶれがないということだ。また、著者の作品で提示される謎が、ちょっとやそっとの謎ではなく、一見全く不可能に思えるものばかりというのもすごい。本書でも、死んだはずの人物が犯罪を犯すという一見不可能なシチュエーションが提示され、それがどのように謎解きされるのか、最後まで存分に楽しめた。これからは、著者の別のシリーズを読んだり、ゆっくり本シリーズの新刊を待ちながら楽しんでいけるのも嬉しい。(「甦る殺人者」 知念実希人、新潮文庫)
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