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この世にたやすい仕事はない 津村記久子

これまでに読んだ著者の本の中で最も面白かった一冊だ。長年勤めた職業を離れて、色々な職業を渡り歩くことになった主人公が、よくあるような日常的な新しい仕事をこなしていくなかで、様々な事件や謎に巻き込まれていく。ある作家の挙動を1日遅れで監視する仕事、路線バスの車内アナウンスの原稿作りの仕事、製菓会社であられの袋に印刷する「一口豆知識」の原稿を作る仕事、地方自治体の公共ポスターを貼る仕事、大きな公園の監視と見回りの仕事など、ありそうでなさそうな仕事、誰でもできそうだがキッチリやろうとすると様々な困難がありそうな仕事を転々とし、その度に主人公を取り巻く世界が様々に変容していく。帯の寸評で伊坂幸太郎が「こんな不思議な小説を作れるのか」と感嘆するのもっともだと思うほど、凄い小説だ。(「この世にたやすい仕事はない」 津村記久子、新潮文庫)

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