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急行霧島 山本巧次

著者の本は2冊目で、副題は「それぞれの昭和」。前に読んだ本も鉄道がらみのミステリーで、帯にも「鉄道ミステリーの名手」と謳われている。舞台は、新幹線開通や東京オリンピック前の日本、鹿児島から東京を24時間以上かけて走る急行霧島の車内で起きる事件を巡るミステリー。車内で出会った女性2人、スリの常習犯を追う鉄道公安員、傷害事件の犯人を捜す鹿児島県警の刑事、運び屋の若者、謎めいた列車の車掌さんなどが乗り合わせ、様々な事件が持ち上がる。ストーリー展開も早いし、推理合戦のような展開もあり、さらには当時の公害問題や復員後の元軍人の問題など当時の時事問題も絡んでいて、文句なく面白い内容だ。巻末の広告をみるとまだ色々面白そうな著者の鉄道ミステリーが出ているので順番に読んでいきたいと思った。(「急行霧島」 山本巧次、ハヤカワ文庫JA)
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