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卒業生には向かない真実 ホリー・ジャクソン
いよいよ話題沸騰のシリーズ3部作の最終話。前作で、主人公が真相究明の代償として受けたダメージがかなり大きかったので、この先どうなるのか心配だったが、案の定、冒頭からとんでもない事態に陥っていた。この難局をどう乗り越えていくのかと思っていたら、さらに主人公を追い詰める事態が起きてしまう。本書は2部構成なのだが、第1部の終わりで主人公のとった決断に心底唖然、まだ残り300ページもある段階でこんなことになろうとは本当に予想もしなかったし、この話この先どうなるのか見当もつかない。最後の結末の受け止め方、ハッピーエンドなのかどうかは人それぞれかもしれないが、自分は何となくこの3部作はハリーポッターシリーズに似ているなぁと感じた。正義感に疑いはないがその一方で決められたルールよりも自分の信念を大切にするため、必ずしも模範的な優等生とは一線を画す主人公の行動は学校とか社会ではかなりの厄介者と映る。そうした冷ややかな周囲の反応との葛藤、それでも全幅の信頼関係を持った協力者の存在などが、似ているなぁと思う。完成度が高いこともありシリーズ続編は期待できないようだが、形を変えてでも良いのでSNSを駆使した推理、自分の信念を貫く新しい探偵の活躍をもっと読んでみたいと思った。(「卒業生には向かない真実」 ホリー・ジャクソン、創元推理文庫)
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