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禍 小田雅久仁

著者の本は3冊目。ウィキペディアでみると著者の単行本は4冊出ていて、デビュー作以外は全部読んでいることになる。デビューが10年以上前で随分寡作な作家だが、読んだ3冊とも大変面白かった。本書も既読の2作と同じく幻想小説に分類される内容だが、とにかく読むたびにその語り口のすごさに圧倒される。本書には鬱積した感情に囚われた主人公が経験する怪奇現象を扱った短編7つが収録されているが、いずれの短編も結末がどうなるか、謎は解明されるのかといったことがどうでもよくなるような面白さだ。単行本になっていない文芸誌に掲載された短編がいくつかあるようなので、今後の単行本化を楽しみにしたい。(「禍」 小田雅久仁、新潮社)
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