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国歌を作った男 宮内悠介

書評誌にSF作品のお薦め本として紹介されていた短編集。収められた短編は13編だが全体的にSF色はうすい。史実に沿った記述や実在の出来事と著者の空想が融合しているという意味ではSF的だが、どちらかというとコンピューター、ゲーム、システム開発などの進化に関する著者自身の実体験を基にした懐古的な話が主流で、SFがやや苦手な自分にも楽しく読むことができた。また巻末の著者の解説を読むと、収められた短編は、オムニバス企画として依頼された作品が多い。自分がじっくり温めて丹念に構築していく長編と違って、時間やテーマの制約が強いこうした短編の場合は、自分自身の体験などが色濃く出るのかもしれないなどと考えた。(「国歌を作った男」 宮内悠介、講談社)
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