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万能鑑定士Qの推理劇Ⅲ 松岡圭祐

シリーズの最新作だが、「事件簿」の後の本シリーズ以外にも「短編集」も刊行されているし、別シリーズもあるので、読んだかどうか本屋さんの店頭ではすぐに判断出来なくなってしまっている。そういう場合は奥付けの刊行日をみて判断するしかない。本書の場合もとりあえず入手、家に帰って未読であることを確認してホッとするという段取りだった。話の方は、主人公の活躍がこれまでのシリーズ作に比べてやや控えめという印象だが、地中海の名所巡りの要素があったり、これからも活躍しそうな新しい登場人物が出てきたりしていて、そのあたり大変抜け目がないような感じだ。(「万能鑑定士Qの推理劇Ⅲ」 松岡圭祐、角川文庫)

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夢幻花 東野圭吾

著者の最新刊。ある花を巡る2つの家族の物語だが、少しずつ2つの家族の接点が明らかになる一方、花の謎は読み進めるうちに深まるばかり。これがどのように収束するのか読みながら気になるところだが、最後には全ての謎が明らかになる。そのあたりは流石だと思うが、解明された謎の全体像は、やや無理があるかなというところのぎりぎりという感じだ。良く言えば、かなり思い切ったアイデアを使った内容、単純に楽しめるガリレオシリーズでも、抒情豊かな加賀恭一郎シーリーズでもない、もう1つの著者の魅力といったところだろう。但しあまりこのような1つのアイデアに依存した作品ばかりでは、著者の魅力が十分に楽しめない気がした。(「夢幻花」 東野圭吾、PHP研究所)

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ジヴェルニーの食卓 原田マハ

前作「楽園のキャンバス」でようやく自分の書きたい小説を書けるようになったということかもしれないが、本書を読むと、著者にとってこの分野の本が特別なものであることがよく判る。近代絵画の巨匠達と深くかかわりを持つ主人公の語りという体裁で、その巨匠達の創作のあり方や有名な作品のイメージを膨らませるようなエピソードが紹介されていく短編集。史実を踏まえながら、そうであってもおかしくないというぎりぎりの線まで想像を働かせているのだろう。まさに虚実皮膜の世界を楽しませてくれる。(「ジヴェルニーの食卓」 原田マハ、集英社)

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