玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

近現代史の裏側⒀ ―高松宮の「自然の帰結」―

2023-12-04 11:07:25 | 近現代史

東条内閣が誕生した日の1941年10月17日の『高松宮日記Ⅲ』には「…意外にも思ったがよく考えれば、それをそのつもりで考へ居る人には自然の帰結かも知れぬ。…」とある。

「そのつもりで考へ居る人」とは、ある一人の個人を指す場合もあろう。

とすると、最も疑わしいのは木戸幸一内大臣であろう。

『木戸日記』によれば、東条内閣誕生の前々日の15日に鈴木貞一企画院総裁は木戸を訪問し、次の内閣は東久邇宮を陸軍は推挙していると告げた。

そして、翌日16日にも、鈴木は木戸を訪問していた。木戸は「万一日米戦に突入して…予期せぬ結果を得らざる時は皇室は国民の怨府となる」と皇族の内閣に否定的だった。この時に、木戸は既に東條内閣を想定していたのだろうか?

近代の戦争とは、一人では、個人では、小集団でも、起こせないモノであろう。とすれば、ここは「考へ居る人」ではなく、「考えている人々」と解する方が良いのかもしれない。

【参考文献:『木戸日記(下)』東大出版会、『高松宮日記Ⅲ』中央公論社】

(次回へ)


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