西山事件は、国家公務員法の「秘密の漏示」の”そそのかし”の罰則が、憲法21条の表現自由に優越した事例となった。
しかし、それを許し、むしろ幇助したのは、不思議にも表現の自由の本家のマスコミ・メディアであった。
週刊誌ではその女性や夫の手記を盛んに取り上げた。今、ネットで当時の紙面や記事を見ると、一枚の女性の写真があった。顔は黒く塗りつぶされていたが、意外にもミニ・スカート姿の42歳の女性だった。
澤地久枝氏は、この女性はけっこうさばけた生き方をしていたのではないかと推測する。
西山氏が高裁で懲役4か月の判決が出ると、彼女は「今まで自分だけが有罪であったのが納得できなかった。これでやっと納得した。有罪は当然だ」と語ったそうである。
この女性はその後離婚をした。名前も変えて、ひっそりと暮らしたのかもしれない。今生きていれば87歳である。
2000年以降のアメリカ国立公文書館の情報開示で沖縄返還密約の存在が確認された。
西山氏は86歳である。