玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

老人の、老人による、老人のための政治

2020-12-14 11:04:23 | 

寺島実郎『シルバー・デモクラシー』岩波新書を読んだ。寺島実郎は1947年生まれ、団塊の世代である。

山口二郎は1958年生まれ、両者は10歳違う。山口は「団塊の世代が本当にダメですね…」と厳しい。

寺島は団塊の世代を「日本の歴史の中で「個」と「我」の論理を認められた最初の世代」という。

「決して自らの子供たちの教育に成功していない」と自省もしている。この両者の団塊の世代論は面白い。

寺島は18歳へ選挙年齢を引き下げても、全体の投票率は54.7%(2016年参院選挙)にすぎず、これまで高齢者は7割近い投票率、これでは「老人の、老人による、老人のための政治」になってしまう、と言う。

団塊の世代はその爆発的な量のゆえに、人生の節目で競争が厳しかった。特に女性は就職・結婚で苦労しただろう。男性は社会の中では戦前派の命令の下に自我を小さくして働いてきた。それで権力を握ると、変な人間が出て来るのだろう。

老後になって、又人数が多いと厳しい目が向けられる。そもそも団塊の世代を数量で形容するのではなく、戦争の結果という事実として考える土壌がこの国にはなかった。そこを議論しないと単に感情論になってしまう。

 

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そもそも戦争ができない国

2020-12-12 13:47:31 | 

山口二郎氏は良識的で、紳士的で、喋り方は下手だが、書かせるとしっかりした意見を持っている学者というのが解かる。

今回は『民主主義をどうしますか』七つ森書館を読んだ。全般的に現代の政治状況が良く解かった。特に次の三点が興味深い。

  • 自民党が60年代以降長期政権を樹立できたのは、岸を否定して、平和と繁栄を追求したからである。安倍はそのような自民党に復讐を果たした。 アベという人間にそこまでの覚悟があったとは信じ難い。
  • 団塊の世代が大学をめちゃくちゃにした。ある種の「反知性主義」はあそこから始まった。結局団塊の世代の政治家は単なる権力主義者でしかありません。 耳の痛い意見だが確かにそうかもしれない。その典型が現首相なのか!
  • 日本という国は抑々戦争ができない国である。国土は狭く人口が密集し、日本海側には原発を置いている。通常兵器攻撃は直ちに核戦争になる。

この三番目の視点が私の日常からは浮かんでこなかった。

この視点に立てば、集団的自衛権や敵基地攻撃能力を考える前に、先ず原発を廃止し徹底した外交努力を尽くすことが第一であろう。

アメリカの核の傘に入っても国土を守れないことになる。

 

 

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メディアの忖度

2020-12-09 10:16:40 | 時事

昨晩、ネットで話題となった共同と東京の記事。

―河井夫妻が公選法違反の罪で起訴されたことを「非常に残念」とした上で、資金提供について「支部の党勢拡大などの政党活動のために、党内で定めた基準と手続きに従って適切に交付された」と言及した。―とあった。

自民党の1億5千万円の河井陣営への資金提供のことだ。

ネットでは他の大新聞には掲載されていないと。とくに最近の新聞記者の能力の無さを批判していた。

実は各社は「党内の基準と手続き」という表現から責任が党本部に行くことに気付いていたが、まさか菅官邸が二階・安倍が窮地に落ちることを答えるはずがない。

これは、果たして菅の本心か、それとも事務担当の勇み足かの確認待ちなのではないか。

今や大新聞(メディア)は自民党権力者にも忖度しているとみる。

問題は共同通信社を通じて地方新聞はこれを報じていることである。ここに地方と首都圏との情報の落差が生じるが、メディアはこれにもお構いなし。この国はコロナ禍なのに、政府は権力争いなのか?

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戦前に似ている

2020-12-07 20:59:22 | 近現代史

先日、『歴史戦と思想戦』を読んでいたら、1937年9月に内閣総理大臣下の直轄組織として「内閣情報部」の設置とあった。

翌年2月、盧溝橋事件後7ヶ月後に「思想戦講習会」という講習会を官邸で行い、「思想戦展覧会」が各都市のデパート等で開催された。ここから思想の操縦戦が始まった。

戦後になって、1952年総理府内に内閣官房組織令(昭和32年7月31日政令第219号)に基づいて「内閣調査室」が設置された。1986年「内閣情報調査室」に名称変更し現在に至る。

前段が岸政権、後段が中曽根政権である。ここに両首相の国家主義への憧憬を見る。

先日の中曽根氏の葬儀の異様な軍国調は、岸の孫の安倍政権の既定路線だったのかもしれない。聊かマンガ的な整列であったが。

現在の内閣情報調査室では一体何が行われているのか、良く解からない。さぞアベ・スガ政権の8年間で充実したことであろう。

国民にスマホが普及することにより、中国の例からも、国家主義やファシズムはむしろ成立し易いのではないか。

スガのデジタル庁もどうやら怪しいモノでとても信用できない。

参考文献   

 

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この国は民主国家といえるか?

2020-12-05 15:07:29 | 政治

今の日本は議会制民主主義と云えるだろうか。

国会は、政府のご飯論法やすり替え答弁で、政治を議論する場ではなくなった。単なる多数決をとるだけの機関となった。

近頃は国会すら開かなくなって、与野党議員ともに働かないで給料をもらっている。野党議員は街頭に出ろ!

この根本の原因は、アベ・スガ政権が「政治家は嘘をつかない」という常識を覆したこと。

公然と「答弁を控える」というのなら、テレビの前でそのまま沈黙していろ。それで引き下がるジャーナリストは名刺から肩書を外せ。

ご飯論法で返された無意味な答弁に更問をしない野党議員がいる。その理由をちゃんと説明しなさい。能力がないのか?裏で取引をしたのか?

質問通告内で治めるというルールを守る野党の国会対策委員長は自民党以上に民主主義を冒涜している。

確かにこの国は1955年以来自民党で持ってきたが、ここらでアベ・スガ・アソウが変質させた自民党を昔の懐の深い自民党に戻さなければ、若い人たちに未来はないと思う。

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