キキ便り

アメリカ便り、教員・研究者生活、シンプルライフ、自閉症児子育てなど

博士課程で学んで

2006-08-23 04:55:33 | 博士課程で学んで
 アメリカの大学は、研究重視のユニバーシティと教育重視のユニバーシティとに大きく分かれている。現在私が所属するのは、前者のリサーチユニバーシティ。ということで、個人への評価も、論文の数や質によって大きく左右されてくる。

 博士課程の学生への研究手ほどきのためにResearch Practicumというコースが設けられている。2コース必修で、教授のもとでその研究に加担しながら、パブリケーションを増やそうというのが最終目的であるが、それに至らないことも多い。私の最初のResearch Practicumは、新米の教員の指導の下で行ったこともあり、莫大な時間をかけた割には、その苦労が実らなかった。主な作業は、親子のパズル問題解決場面を録画したビデオをもとに、育児態度を評価するものであったが、4人の評定者の得点が度重なる訓練を通してもなかなか一致せず、断念せざるを得なかった。

 次のResearch Practicumは、全米規模で行われたEarly Head Start Programの縦断研究データーを使わせてもらったこともあって、当初から研究のスケールと枠組みがしっかりしていたことが幸いしたらしい。私の所属する学部の分野ではトップジャーナルに投稿し、数回校正を重ねた上,昨日採択されたというメールをもらった。文献研究を始めてから、採択されるまで2年間であった。当初の予定と違って、私は第三著者になってしまったが 、考えてみれば同じ研究チームの教授たちの研究経験や文章能力がなければ不可能な出来事だっただろうし、この一連の研究の一部を担わせてもらったことは、感謝すべきことだと考えている。
コメント (1)
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