アメリカでは、就職活動の大きな一因としてインターンシップ制度がある。(詳しくはこの記事を参照。http://toyokeizai.net/articles/-/15683?page=3)
息子も大学一年生の時より、インターンシップ探しに苦労してきた。一年生の時には奇跡的にも、すぐ応募した会社(大手の郵便会社)から採用の声がかかったが、それ以来は応募しても、面接の声がかかることは殆どなかった。しかし卒業まであと1年という秒読みなので、最近では宿題よりもインターンシップ探しに追われている息子。ちなみにこの郵便会社はラスベガスにある会社だったので、身の回りのことがまだ苦手な息子には一人暮らしにはまだ早いと思い、断るように親として指導。
インターンシップ探しとその準備は、本人だけでなく、親の時間もかなり取られてしまう。息子が自閉症であることも関わっていると思うが、社会人として機能するためには、まだまだ乗り越えていかなければならないハードルがある。
1.面接の時の身なり。髪の毛を整える、髭剃りなど基本的なことも、無頓着なので、一つひとつ具体的に指導しなければならない。スーツ上下もデパートに連れて行き購入。ネクタイの結び方、シャツがズボンの脇から出ていないか、ズボンのポケットに携帯電話やお財布を入れてコロコロしていないかなど、チェックを入れる。こういう時に役に立つのは全身鏡だが、それでも自分の姿がおかしいかどうかについて、本人は把握できていないようなので、指導が必要。
2.時間の管理。自閉症者は、Executive function (実行機能)に困難をきたす場合が多いため、前もってどの作業にどれだけ時間が必要かなどを見積もることが難しい。そのため事前の準備の時間を少なく見積もり、大慌てで面接に出かけることが多い。またモノもなくしやすく、出かける寸前に、財布がない、靴が見当たらないなど、パニックになってしまうことが多い。親としてはストレスだが、ともかくいつかは一人立ちできるように、一つずつ忍耐強く教えていくことが必要。また失敗から学ぶことも多いため、時には干渉しないことも必要。しかし息子の場合は, 失敗が不安やうつにつながってしまう場合もあるため、介入が必要。
3.ネットワークづくり。私の友人などで企業に勤めている人に連絡をし、息子を紹介してくれるようにお願いする。中には、Linkedinなどで500名以上のネットワークを持つ友人などもいるので、どうにかつながりができないこともない。しかしつながるだけでなく、実際に面接にこぎつけるまでにはやはり時間がかかるため、複数の友人に同時にコンタクトしている。しかし私自身もアメリカの企業で就職した経験がないため、全て未知数。
4.面接の練習台になる。息子は大学の就職サポートなどをうまく利用し、面接や履歴書の書き方などを指導してもらっているが、やはり直前の就職の練習は、親の私たちが相手になる。特に自閉症者にとっては、アイコンタクトが難しいので、そのことも意識化するように(相手の目ではなく鼻のあたりを見るように、など)指導。
昨日は石油や軍事などを扱っているヒューストンを拠点としている大手会社、ハリバートンとの1次面接だった。日本にも支社があるらしく、世界各国で事業を広げている会社だ。予定は30分の面接だったが、20分で切り上げられてしまったこと、1つ目の質問を終えたところで録音テープがストップされたこと、難しい質問に答えられずにパニックになってしまったこと、これらのことでかなり落ち込んで帰ってきた息子だったが、全ての経験が糧になると信じている。「自閉症者」であることを開示した方がいい、と私は言い聞かせているが、本人はいまいち踏み出せないようだ。
その前の日はコンサルティング会社のアクセンチュアだっただろうか。この会社も日本に事務所があるらしい。直接の面接ではなく、オンラインで自分の面接を録画し、送るところが今どきの面接。
息子の能力を評価してくれる会社に出会えるように願っている。