これも、前回の記事の続き。
5月にオファーをもらった防衛関係の企業。その後、アメリカ政府によるセキュリティー・クリアランス(秘密にすべき情報を扱う職員に対して、その適格性を確認し、その資格を与える)にパスするための資料を提供。
資料には、非常に細かく詳しく、これまでの犯罪歴、仕事などの経歴、海外への渡航歴などについての情報を書き、友人、家族、雇用主、アパートの管理人、近所の人などの連絡先も必要だったらしい。
息子の場合は時間がかかり、すぐには中間セキュリティー・クリアランスをもらえなかったが、特に誰のところにも調査の連絡があったわけではなかったので、おそらくそんなに問題はなかったのだろう。しかし待っている側にとっては、ストレスである。息子の場合、生まれたのは日本。日本で短期留学をしたり、ついこの前まで二重国籍だったのが、遅延の理由だったのかもしれないが、よくわからない。
中間セキュリティー・クリアランスをクリアした時点で、仕事の開始日を決めることになった。初出勤は、7月8日。あと2週間半である。ちなみに、最終的にセキュリティー・クリアランスをクリアするためには、もうしばらく時間がかかるらしい。
ウィスコンシン州ですでに8カ月のインターンを経験済みなので、社会に出るのは初めてではない。しかし、これで親元を離れると思うと、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちだ。
しかし、息子は確実に自立に向かって成長している。次のようなことだ。
一つ目は、自分の自閉症を受け入れ、改善、成長していこうとする心意気だ。
昨日、車の中で息子に電話がかかり、電話先は息子の勤め先の近くのABA(応用行動分析)をやっているセンター。少しでも、自閉症者である自分の行動のマイナス面を改善しようと、自分で調べ、ABAに行きついたらしい。自分で電話し、プログラムの概要を聞いて情報収集しているらしい。
5歳の頃、同じく応用行動分析に基づいたDiscrete trial trainingを行っているセンターで、療育を受けたことがあったため、そのことを伝え、ABAよりも社会性スキルトレーニングを中心にやっているセンターが良いのではないかと伝えるが、私自身、成人のABAプログラムについてはあまり知識がないので、また調べてみようと思う。しかし、決めるのは息子だ。
二つ目は、精神面での安定。
ADHDや不安障害を和らげる薬、睡眠薬などを服用し、認知行動療法に週一度通っている。その効果だけでなく、息子の加齢に伴った成熟とも合わさって、以前のようにパニックを起こしたり、不安を訴えることが殆どなくなった。精神科医やカウンセリングのアポも、自分で管理しているため、今後独立しても、同じようにやっていけるのではないかと期待する。
このような良い面だけではなく、ブログに書けないような心配ごとも時々あるが、自閉症を抱えた息子が社会人として一歩を踏み出してくれるのは、大きな奇跡だ。
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