キキ便り

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娘からママは家に帰ってこなければよかったと言われる

2015-10-21 02:26:34 | アメリカ高校生活

 

娘から二日連続言われた言葉。

そもそもの始まりは、数日前の息子の一言「僕、日本から持ってきたお金どうしたんだろう。パスポートにはさんでおいたんだけど」の一言だった。

一か月半前、貴重品はすべて息子のBackpack(リックサック)に入れて持って帰らせた。絶対なくさないように、何度も言い聞かせたが、どこかに置いてきたのだろうかと心配になる。それにしてもなぜ今まで、気づかなかったんだろう。子どもたちは日本から帰ってきた次の日から学校が始まり、荷物の整理どころではなかったのかもしれない。

オットが息子の部屋をくまなく探すが見つからない。もしかして、娘の部屋にあるんじゃないの、とオットに言ってみる。案の定、娘の部屋のクローゼットからアメリカへ持って行った本と一緒に見つかった。(日本のパスポートとお金はしっかりあったが、アメリカのパスポートはまだ見つかっていない)

娘は、部屋が散らかっていようが、まったく気にならないタイプだ。洋服、食べ物、学校の所持品など、ありとあらゆるものが床に散らばる。極端な例では、引き出しの中から、食べさしのお皿が出てきたり、シャワー場からヨーグルトの容器、お皿、スプーンが出てくる。私のお化粧品、洋服なども、見つからなくなったものは、娘の部屋で見つかる場合が多い。片付けと部屋の汚さをめぐって、娘と私のバトルが何年も続いてる。

私が日本で研究調査をしている間は、オットが母親代わりだった。「ランチをせっかく作ったのに、持っていくのを忘れたんだよ」とか「信じられないくらい、部屋が汚い」という愚痴は電話で何度か聞いていたが、また私がその役割を担うことになった。

長所も多いだが、部屋が散らかっていることは、全ての効率を悪くし、余計なストレスを生み出す。

日本から持ってきたスーツケースをやっと空にした私は、今度は娘の部屋を片付け始めた。同じ種類のもの(紙類、鉛筆類、ペン類など)をひとまとめにし、入れ場所をつくる。

洋服は、クローゼットにあふれかえっていたので、まず夏服を全て紙袋に入れて別の場所に保管する。次にワンピース、ズボン、スカート類など、種類ごとに集めて、下着類もそれぞれの容器に分類。もう着れそうもない服、娘が全く着ていない服は、寄付するか捨てることに。そして娘に、ワンピース、運動服、Tシャツ、カミソール、レギングス、寝間着以外にハンガーにかける服を30着に絞るように言う。

この30着というのは、根拠があるわけじゃないが、夏に読んだ本「フランス人は10着しか服を持たない」のルールを緩くしたものだ。娘だけにルールを押し付けるのはよくないと思い、自分のクローゼットも30着に絞る。

こういうことをやる母親が帰ってきたと思い、「ママなんか帰ってこなければ良かった」という言葉が二日連続する。

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ベン・カーソンの自伝を読み、親の教育方針が子どもの将来をどれだけ変えることになるかを確信した。

彼は、後頭部が結合したシャム双生児を分離する手術の成功によって世界的に有名となった小児脳神経科医。全米のトップ20の医者とも言われている。デトロイトの貧しい家庭に生まれた彼は、医者として成功しただけではなく、現在はアメリカ大統領選挙の共和党の候補者である。

フォスターホームで育った彼の母親は読み書きもよく知らないといった無学であったが、13歳で結婚。しかし、他に女性をつくった夫に捨てられ、結局シングル親として子どもを育てることになる。家政婦などの仕事を複数抱えて、二人の息子を育てる生活は困窮していたが、その中でも子どもの教育に対する熱意は注目に値する。

「テレビは一週間に二つの番組しか見てはいけない」「毎週1度図書館に行って本を2冊借りてきて、レポートを書き、母に読んで聞かせる」

そういう厳しい子育ての習慣があったからこそ、クラスの中でも劣等生だったカーソンはやがてトップクラスになり、アイビーリーグのイエール大学へ入学。

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娘の片づけをめぐるバトルも、本来ならば「内的動機づけ」が働かなければうまくいかないだろう。オットはそれを指摘する。しかし世の中には、家事を喜んで自ら進んでやる人はどのくらいいるだろうか。自分の生活の中のルーティンとして位置づけしているからこそ、やりたくなくてもやる。それが自立ということなのではないかと思う。

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