ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

宝塚はどこへ行くの?2

2008-09-14 12:03:16 | 宝塚コラム

 ヨン様級大トップの予感・・・柚希礼音 

 今、宝塚はスター不足に泣いている状況らしいです。

かの大スター「天海祐希」がいた頃の宝塚を何とか再現したい・・・

ゆえに大和悠河を「第2の天海」といわしめたり、とにかくビジュアル重視

になってきた事は事実です。

一路真輝も歌唱力抜群だったけど男役としては?でも人気はすごかった。

涼風真世などもその一人だけど、意外と剣幸とか久世星佳のような

男役はマニアックらしく歌劇団は大事にしない)

ほんとの所、天海は人気先行型で男役としては発展途上のまま終わって

しまったし、天海ファンはその後もヅカファンを続ける人が少なかった・・

という事で、今にして思えば彼女こそ異端の人で、長い宝塚の歴史を

重んじるなら真矢みき・麻路さきのような男役こそ、本当の意味で

「大スター」であったと思うんですが・・・・・

男役の型の継承とか、こだわりといったものよりも、とにかく一般受け

する顔でかっこよければいい・・といった傾向を生みだしたのは他ならぬ

歌劇団ですからしょうがないんですが、同時に宝塚的作品傾向を理解

出来ない、排他するようなファンを作りだしたのも事実です。

 

ま、それは横に置いておいて・・・で、じゃあ、歌劇団を救うスターは

いずこに?と考えると。いました。星組に。

そう・・・柚希礼音です

スカーレット・ピンパーネル」での演技力、歌唱力、どれをとっても素晴らしい

のですが、何より嬉しかったのは、彼女が伝統的な男役の型を

きちんと踏襲している部分です。

 

 正直、入団した時から鳴り物入りの柚希礼音は85期の中でも

とにかく目立つ存在でした。新人公演主役は当たり前、ロケットでは

常にど真ん中でくるくる回っているといった感じ。

でも下級生の頃はただ背が高くて見た目が派手でダンスは上手だけど

それだけーーって感じがしたものです。

どことなく女の子っぽい所もあったし、セリフ回しも上級生の真似してる

だけーー歌は論外って。

この子は将来トップになるだろうけど、私がファンになる事はないかも・・と

思っていた口なんですよね

新人公演のご挨拶も毎回突っかかって言葉を間違え、でも

「よく言えましたね頑張ったねーー」と褒めてあげちゃうような?

人でした。

 

 「王家に捧ぐ歌」新人公演のラダメスも湖月の真似っぽい部分が

多かったし、「この子、本当にセリフを理解して言ってる?」みたいな

思いが常に付きまとう男役でした。

でも、その「とにかく教えられた通りにやってみる」という素直さが功を奏して

安蘭けいお披露目「さくら・シークレット・ハンター」では妙に生き生きと

動き出し、その大柄なガタイを生かして輝くこと輝くこと・・・

そして「スカーレット・ピンパーネル」のフィナーレの冒頭、せりあがって

銀橋で歌う彼女を見たとき、「ああ、これはもうトップにしちゃってもいい」と

本気で思いました。

彼女の背後に「大スター」オーラが輝きまくり、その勢いはもう誰にも

止められないなあ・・・まさに今が旬になった柚希礼音です。

 

彼女こそ、容姿・演技どれをとっても「ヨン様級カリスマ性」の持ち主。

もしこの人を早々にトップにしなかったら、それは歌劇団に目がなかった

ということ。(間に誰かを入れるなんてとんでもないっ

あのダンスが上手で派手な顔立ちだけだった少女が、こんな風に

立派に成長するなんて・・・ お姉さんは嬉しいぞっ

私の大好きな星組で、星組がずっと守ってきた「男役」というものを

もう一度体現して欲しい 昔日の夢よ、もう一度

(ああ・・・ツレちゃん・・・マリコさん・・・わたる君・・・うるうる

 

 とまあ・・・色々言ってみたわけですが、今、歌劇団に必要と

されている男役というのは、やっぱりビジュアル先行よりも、実力派

ではないかと。

もしそれが一般受けしなかったとしても、長い目でみれば必ず宝塚

歌劇のプラスになるはずだと・・・私は信じているのですが。

 

 

コメント (2)
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宝塚はどこへ行くの?1

2008-09-14 10:56:10 | 宝塚コラム

 今、日本の演劇界って疲弊しているように見えるんです

特にミュージカル界は・・・主演クラスに持ってこようと思っても人材はいない、

オリジナル作品を作れる人がいない・・作らせない・抜擢しない・

安定だけを望むっていうか・・・・

無理に新規をやって失敗するよりも既存のものである程度の観客を

呼べればいいと思ってる部分はあるでしょう

あとは芸能界特有の力関係で「大御所」と呼ばれる人が若手の台頭を

阻んでいるような気がするんですが・・・・

 

 スカーレット・ピンパーネル・・・ブロードウエイらしい? 

 

最近は、いわゆる宝塚オリジナル作品でヒットというのはほとんどありません。

オリジナル・・・と聞いただけで「あ、チケット余るかも」と思う程

理由は

 安易な再演で理解不能

バレンシアの熱い花」は大昔の大ヒット作ですが、これを宙でやったら

コケちゃった。なぜって主演の大和も観客も作品の中の倫理観や思想を

理解する事が出来なかったから。

おまけに初演時、歌の上手な榛名由梨がやった役を宝塚一歌が下手な

大和悠河にふってしまったというのは大失敗。

お披露目作品にも関わらず、往年のファンからは嫌われ、新しいファン層

を開拓出来なかった典型例でしょう。

 作家の名前を聞いただけで作品の傾向がわかってしまう

例えば

石田昌也作・・・幕末物か戦争物で主人公は亭主関白で

浮気者で女性を大事にしない。男尊女卑と卑猥なセリフのオンパレードね

谷正純作・・・男の美学とかいって主人公を集団が祭り上げるような

ストーリーで最後は皆殺し?

草野旦作・・・南国物で群舞のオンパレード?同じ衣装の使いまわし

 まずい事にこういう作家が「大御所」として君臨しちゃってるという

現実があるので、ファンは見る前から「どうせ・・・よね」と諦めムードに

なってしまうわけ。

 再演に次ぐ再演

今年はバウホール等で昔の名作を再演する動きが活発でしたが、宝塚は

基本的に主役にあてがきされてますから、それを単純に世代が違う人が

演じるのは難しいです。ゆえにリピートしない。

・・・とまあ、色々理由はあるんですけど、一方で「エリザベート」や

「ファントム」といった海外ミュージカルは常にチケット難。

しかも潤色が本家よりも優れていたりするので、とっても感動する。

今回、星組で上演されている「スカーレット・ピンパーネル」もその一つで

多分、将来的には各組の再演となるんでしょうね・・・・

 

 「スカーレット・ピンパーネル」はとってもよく出来た作品だと思います。

イギリス人貴族のパーシーがフランス革命で罪もなく殺されようとする

貴族たちを救い、そして最終的に王太子を救出する。そういう大がかりな

二都物語の中に結婚したばかりのパーシーとフランス人女優マルグリットの

すれ違いという「身内」の話を盛り込んで、面白おかしく描いてくれます。

観客は素晴らしい楽曲に感動し、そしてちりばめられたコメディに大いに

笑います。最後は大団円 

すっきり「ミュージカルを見たわ」と感動して家路に向かえます。

実力があってもキャラ立ちしない東宝ミュージカルよりずっと面白いし

かっこいいわけ。

 こんな作品、どうして日本では生まれないんだろう・・・何で書けない

のかなあ・・・と考え込んでしまう事もあります。

脚本は元より、舞台の使い方の妙、楽曲の美しさ。どれをとっても大胆で

スペクタクルだなあ・・・・と。

出演者もいつもの作品に比べてテンションが高いんでしょう。

ぐいぐいと観客をひきつけてくれます。

 

 ただ・・・2度目に観劇した時、「ああ、やっぱりブロードウエイ

作品だなあ」と思ってしまったのも事実。

私はブロードウエイミュージカルが実はあまり好きじゃないんですよね。

なぜかというと、王室を持った事のない国が平気で身分制を語る事に

違和感を感じるからです

どの作品もそうですが、アメリカ的価値観の中で身分制や階級制を

語るので、どうしても「伝統的価値観は悪」みたいな思想が入っている

ような気がするんです。

たとえば「ミーアンドマイガール」は、下町育ちの少年を貴族の跡継ぎに

するはちゃめちゃなコメディですが、やっぱりどこかで「人間を身分で

差別するのはおかしい」と短絡的に語っているようだし・・・

ディズニーアニメ「シンデレラⅡ」ではシンデレラが「階級制」の破壊を

行ったりします。「アナスタシア」も違和感ありました。

 

そういう意味でいくと「スカーレット・ピンパーネル」もそういう部分が

かなりあるのではないかと。

 イギリス貴族は遊び人…ステレオタイプな貴族観

 イギリス人がフランス貴族を救うという違和感

 パーシーとマルグリットは本来貴賎結婚であること

 ショーブランがイギリスの王室舞踏会に行くのは変

 ルイ・シャルルを簡単にフランスからイギリスに脱出させてしまう

  違和感

普通に王制などを知っていたらこういうストーリーは書けない筈ですよねえ。

リアルなのは「革命の成功」を必死に願っているというか、信じている

ショーブランの思いくらいで、ロベスピエールを悪役にしまくってる部分も

多分本家フランス人からしたら違和感が?

どだい「サン・ジュスト」なんて苗字を言われてまっさきに頭に浮かぶのは

「死の大天使」サン・ジュストなわけでねえ

 

ここらへんのいい加減さってのが正直、リピートすればする程気になる

わけで。

しかもラスト、ショーブランは「スカーレット・ピンパーネル」として引き渡され

笑いのうちに終わる・・・ラストはハッピーエンドのブロードウエイならでは

ですが、通常、ここはやっぱりショーブランはパーシーに殺されるか

自決するかが妥当ではないかと

「恋敵」パーシーに敗れて殺される、あるいは革命を信じて自決するという

方がふさわしいと思いますが、ここをおちゃらけてしまったあたりが

いかにもアメリカ的平和主義だなあ・・・・と思ったりします。

(小池先生もフランス革命の描き方が日本人には合わないのでは

ないかということを書いていらっしゃいますが)

 

だから「エリザベート」はブロードウエイでは上演出来ないんですよね。

皇室に馴染めなかった女性の心の奥底をえぐりだすような作品は

アメリカでは永遠に理解されないかもしれない。

でも日本人は基本的にこういうストーリーが好きです。だからこそヒット

したんだし。

そして日本の作家さん達もこういう奥深い作品を作る事が出来る筈

なんです。

でも今の宝塚では難しい・・・・その理由を劇団は考えてほしい。

「エリザベート」級の脚本を書く若手は実は一杯いるんだって事。

そういう人に門戸を開いていかないと宝塚は衰退の一途をたどるでしょう。

 

 

 

 

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