紀 子 「こちらこそ、いつもこまやかにお教えくださり、また健康面も気遣ってくださり、
深く感謝しております。
また、一緒に生活をするようになってからわかったことですが、
食べ物の好き嫌いがほとんどありませんね。私は、いくつか苦手なものがありますが…。
食材を自由に選ぶことができて、助かっています。
旅先でもいろいろな郷土料理を一緒に楽しむことができ、
食文化に親しむ機会が増えたように思います。
ほかにも、用事が立て込んでいましても、余裕をもって時間を守られていることには
敬服しております。
私は自分の時計の針を早く進めても、遅れ気味になってしまいます。
もっとも、行事の前に私のところにいらして、あと何分と言われると、
プレッシャーを感じますが…。
お互いの気づきや発見がいろいろあり、自分と違う考え方だなと感じるいっぽうで、
共有できる見方もありました。また、理解するのが難しかったこともあれば、
言葉を交わさずとも心が通じ合うようになり、助けられたことも多々ありました。
秋篠宮 「そうですね。結婚するまでまったく異なるところで暮らしてきたわけですから、
考え方などで共有できるところとそうでないところがあるのは当然のことでしょう。
その上で、我が家の場合に限って言えば、経験を共有することと
趣味を共有しないことがよかったと思います。
経験は共有することで将来的に発展しますが、
趣味、たとえば、あなたが瓢箪(ひょうたん)に興味をもってそれを共有したとすると
競ってしまいますので、良好な関係でなくなる可能性大です。
趣味はそれぞれ楽しみましょう。
紀 子 「それぞれの趣味もありますが、一緒に音楽を聴いたり、自然に親しんだり、
旅行にでかけたりという時間も楽しいですね。
〈夫、妻、親として〉
秋篠宮 「さて、ときどき夫もしくは親としてどのように認識されているのか
気になることがあります。あなたも同様でしょう。最後に評価でもしてみませんか?
紀 子 「気にしているかどうかわかりませんが、面白そうですね。
秋篠宮 「本来であれば、第三者、まったくの第三者というわけにもいかないので、
私以外の家族に委ねなくてはいけないのでしょうが、
それをするにはまず自らを振り返ることが必要です。
とはいうものの、あなたと子どもたちから私の評価を聞くことは、
今までの自分の行いを考えると少し怖い気もするので、
今回はあくまで自己点検・評価でいきましょう。
きちんとした項目立てをして、優・良・可・不可で客観的に点検および評価を
したわけではありませんが、漠然としたメルクマールからすると、
私の場合には限りなくボーダーラインに近い「可」といったところでしょうか。
紀 子 「私も仲良く「可」にいたします。いろいろな可能性を秘めている
「可」ということでいかがでしょうか。
秋篠宮 「おたがい、改善点が多いということですね。
「良」や「優」は、今後の努力目標とすることにしましょう。
紀 子 「はい。これからも、可能性を大事にしつつ、努力目標にむけて一緒に年を
重ねていくことができれば幸せに思います。
秋篠宮 「それでは、このあたりで終わることにしましょうか。
紀 子 「そうですね。ありがとうございました。
導火線が短い殿下ならではの「プレッシャー」
長く付き合っていても「うるさいわね」と思いそうなものですが。
はっきりと「「プレッシャーです」と言えるから、適応障害にならないのだと思いました。
また「可」という評価。こんな評価のつけかたもあったのだと思いました。
私達はついつい両陛下にならって「感謝状」だとか「100点」だとか想像しがちですが
「可」でいいですよ。結婚50年目に「優」になっていれば。
謙虚で素晴らしいなと思います。
ご結婚記念日、本当におめでとうございます。
これからもご家族仲良くお過ごしくださいませ。