3月30日と4月1日に見ました。
この公演が決まった時、ちょっと不安だったんですよね。
「え?スカピン?歌がーー」って。
しかも貴族の役・・・できるの?って。
でもそれは全然杞憂でした。
今回の公演を見て、私は紅ゆずるのパーシーこそが本当のパーシーだと思ってます。
1幕目
我が家の姫ちゃんは、生スカピンは初めてだったので「マダム・ギロチン」に大興奮。
あの照明と群衆の濃さというのは一気に物語の中に観客を引き込みますね。
ピポー軍曹は変わらず・・・でもなぜか面白い。
銀橋で「スカーレット・ピンパーネル」と名乗るパーシーが、安蘭けいや霧矢大夢のように
見得を切る感じではなかったのでちょっと「あれ?」って思ったのですが、それ以降の芸の細かさに驚き。
「ひとかけらの勇気」の歌詞の意味が全部心に入って来るんですよね。
ここでのパーシーはただのイギリス人ではなく、この時代を生きる人全ての思いでしょう。
一方、礼真琴のショーブランですが、歌は上手だけど顔が黒すぎるんじゃ?
こういう役って礼真琴に合うのか?どこか中性的だし。
綺咲愛里のマルグリットはとっても様になってるなあと。
パーシーとマルグリットはとにかく愛し合ってます
まあ、いちゃいちゃと。
結婚式のシーンなんて、嬉しくて仕方ないって顔をするので、観客は「はいはい」って感じ。
回りも笑顔笑顔。そもそもスカピン軍団のチームワークが半端ないのです。
星組らしい、団体戦の強さでしょうかね。
パーシーがマルグリットを疑い始める過程がはっきりしましたし、それでもいきなり冷たくならないのが紅のよさ。
肖像画のシーンでのパーシーは女性達に囲まれてお喋りしているのですが、本当に女性達が似合うというか、男役なら当然かもしれませんが、「色男」ぶりが際立つシーンです。
七海ひろきのロベスピエールは、冷静沈着で正義漢に見えます。
そうなのです。今回はジャコバン党の論理もわかるし、助ける側の気持ちもわかるし。
勧善懲悪にならないんですよねーー
驚いたのは星蘭ひとみのシャルル。目が大きくて背が高めだけど本当に可愛いの。
この王子様の為なら頑張ってしまおうかな・・・・と思います。
そしてここのシーンがなぜか泣けちゃった。
だってパーシーが優しいんだもの。
子供の扱いがうまいというか「僕は殿下なんかじゃないんだ」といじけるシャルルに
「よくご覧ください」と赤ちゃん言葉で言い、「おいたわしい」と心から同情を寄せ、元気づける。
だよねーー本当は重要なこのシーン、私達結構素通りしていたんじゃないかと。
ショーブランに関しては柚希礼音より私怨が強いというか、ストーカーみたいにいつも追い回しては嫉妬してるって感じです。
冷静なロベスピエールとは正反対ですね。
「炎の中へ」はものすごく盛り上がります。仲がいいんだなあって・・・微笑んでしまう。
1幕最後のプリンスは、実はスカーレット・ピンパーネルがパーシーである事を知っているんじゃないかな?と思いました。
わかっててパーシーと一緒にショーブラン達を欺いている感がバリバリでした。
2幕目
ロベスピエールの歌は全然違和感なく、しかもこれによって「革命」がどのようにして始まりロベスピエールがどうしたいかがすごくよくわかります。
だけど全然悪い人に見えないから困るのよね
「栄光の日々」のシーンで、ロベスピエールは一瞬、革命の夢に酔うけど現実に引き戻されてやがてギロチンの後ろへ行きますが、ここが切ないです。
2幕目はとにかく笑えます。それはグラパンの芸の細かさというか、思えばそういう行動をするのが当然だよねーーと思える演技でしたから。
とくにマルグリットの歌の後で大騒ぎのシーンで慌てるグラパンや、ショーブランが
「俺がスカーレット・ピンパーネルじゃないかと言った」のとき、思わずマルグリットとハイタッチしちゃうシーンでは爆笑。
安蘭けいや霧矢大夢のパーシーがいわゆる頭脳派であるなら、紅ゆずるのパーシーは直感型というか、予想外の出来事にいつもびっくりしてその場その場で対策を立てているような印象があります。
ショーブランはマルグリットに冷たくされすぎて、おまけに革命もうまくいかないし、かなりやけになっている?
ラストの船のシーンは、あまりに幸せそうな二人に嫉妬しちゃいます。
本当によかったねーーはいはい。もう好きにしてくれーーって感じ。
パンフレットの中でもびったりくっついてる二人、舞台の上でもべったりで羨ましい。
っていうか、こういうコンビが見たかったんだよねーー
技術的にはああだこうだあるでしょうけど、いかにも星組らしいトップの誕生に安堵し、期待してしまいます。
出演者について
紅ゆずる・・・・体調がどうかなあと心配したけど、よく頑張ってます。笑顔が破顔一笑って感じで回りを幸せにします。
どうして最もパーシーらしいかといえば、やっぱり「遊び人」「スカピン」の二面性が最もよく表れているからではないでしょうか。
生え抜きですから周囲の人達の調和もよく、関係性が透けて見えるのがいいですね。
引き出しが少ないので、今後、役によっては最低評価になりえるのですが、そこは娘役が引っ張ってくれそう。
綺咲愛里・・・ただの可愛い娘役ではない。でも可愛いから嬉しい。しかも今や宝塚一可愛い娘役だし。紅に頼り切ってない所がいいかなあ。男前な部分におおいに期待。
礼真琴・・・別にどこがどうというわけではないんですけど、歌のうまさに頼っている部分はあると思います。2枚目や明るい役はぴったりなのに影がある役になると途端に技術的な問題を感じてしまうのはまだ「役者」として開いていないからですよね。
歌がうまいといってもまだ聞かせるものではないと思います。
七海ひろき・・・この人はそこに立ってるだけでいい人です。
素顔だとキザっていうのに舞台になると控えめになるのはなんで?と思うんですけど。
瀬央ゆりあ・・・大出世でアルマン。まだまだ押しが足りないので、今後どうなるかなあ。
有沙瞳・・・まだわからないけど・・・・
今回は一兵卒まで自己アピールしててすごく意欲を感じました。
紅の歌う「栄光の日々」を聞きながら、パーシーは単なるイギリスの一貴族ではなく、政治家なのかなと思いました。
お勧めです。