星組
白城あやか
1988年、74期生として入団。同期には森奈みはる、和央ようか、渚あき
花組に配属
1991年、星組に配属。1992年紫苑ゆうの相手役としてトップ娘役に就任
1996年 麻路さきの相手役となる
1997年 退団
白城あやかこそ、恐らく星組の、いや宝塚の歴史に残る娘役の一人であると思います。
(確か噂で「あなたは辞めなくていいからね」と劇団に言われたとか)
紫苑ゆうとの出会いはTMP音楽祭だったんじゃなかったでしょうか?そこで紫苑に見初められて星組に組替え。
日向薫の退団作品「紫禁城の落日」では紫苑演じる愛新覚羅溥傑の妻、浩を演じて鮮烈な印象を残しました。請われて嫁入り、こんな幸せな結婚はなかった・・なかった筈なのに、実際に星組に行ってみたら彼には長年連れ添って来た「側室」がいた!
それが洲悠花で彼女は66期生。
こだま愛などと同期。64期の紫苑ともちょうどいい年齢差で長年の馴染み。そこに初々しい花嫁が来た・・・という構図だったのです。
無論、紫苑は白城あやかをいたく気に入ってとにかく可愛いを連発。ラブラブなモード全開であったけど、常に真横には洲悠花がいた事で、二人きりのシーンというよりトップを挟んで両脇にいるとうパターンが多かったような気がします。
紫苑ゆうがトップの頃の白城あやかは本当に「お姫様」風で、貞淑かつ華やかで理想の「女性」役が多かったような気がします。
一方でショーでは「パパラギ」などで純粋な乙女と魔性の女を演じ分けるなど、そのギャップにファンは萌えたのでした。
特に「若き日の歌はわすれじ」の「ふく」は今も名演として語り継がれています。
洲悠花がこの作品で退団し、そして紫苑もまた「カサノヴァ・夢のかたみ」で退団すると次のトップスター、麻路さきの相手役になります。
私は実はここからが白城あやかの真骨頂とであると思っています。
まずプレお披露目公演「Action!」で麻路さきと白城あやかが男女入れ替わるというめちゃくちゃ面白いシーンがあり、ここに二人の本当の姿が出たというか、実は男前な娘役と愛らしい男役、二人のギャップに大いに笑わせて頂きました。(何でDVDが出ないんでしょうね)
お披露目は阪神淡路大震災直後の「国境のない地図」で白城は幕があくとコーラスの中でソロをとり、本舞台が始まると双子の姉妹を演じ、東ドイツのベロニカは軍の諜報員で上司にセクハラされているという設定、片方、妹はおとなしくて話せない娘、どちらも白城あやかを堪能できました。フィナーレでは大階段の真ん中に登場し「悲愴」を歌い、それからの麻路さきとのデュエットダンスは、私は初めて「デュエットダンスって面白いんだな」と思いました。
それから「二人だけが悪」ではコスプレと綺麗なふとももを惜しげもなくみせて頂き、そして「エリザベート」になるのですが、白城あやかの演じたエリザベートは非常にけなげで凛としていて、優しさのある皇后でした。
ラストシーンの昇天していくシーンの見事さはまさに白城あやかでなければ出来なかったでしょう。それはデュエットダンスも同じで、みんな息を飲んで無言で見守っていました。
退団後に公演を行った「武蔵野の露と消ゆとも」の和宮は、二幕目からは独走状態で和宮が乗り移ったのか?こんなにもたおやかで芯がしっかりしていた女性はいないなと本当に思いましたし、連れ舞のシーンも素晴らしかったです。
ショーにおける白城あやかはドレスや髪型、髪飾りなどのセンスがよく、また表情が豊かで、男役にしっかりと寄り添う姿勢が顕著で見る側も「娘役」に感情移入してみることが出来ました。やっぱりマリオさんをうっとりと見上げるあの瞳が好きでしたね。
「ジュビレーション」の雪女や「パッションブルー」のタンゴの女、また宝石に見せられるお姫様など妖艶な部分も多々見ることが出来、幸せでした。
21世紀になって白城あやか以上の娘役はまだ出ていません。本人だけが素晴らしくてもダメだし、相手役がちゃんとしていないと・・・そういう環境も大切だなと思いました。
OG公演でもこの若さ。
月影瞳
月影瞳が星組にいた期間は1994年から1997年まで。星組デビューは紫苑ゆうのサヨナラ公演「カサノヴァ・夢のかたみ」「ラ・カンタータ」
1995年には「殉情」でバウヒロイン。
のちにこの「殉情」の春琴が代表作の一つになるように、月影に似合う役はどこまでも芯が強くて気も強い。どこか男を振り回すような雰囲気をもっていたように思われます。
「国境のない地図」のソフィは全然目立たなかったけど「剣と恋と虹と」のコンスタンで絵麻緒ゆうにがんがんわがままいう姿は可愛かったですよね。
じゃあ、「二人だけが悪」のキャリアウーマンのジョアンはどうかといえば・・・これはちょっと中途半端だったかもしれません。
「エリザベート」の子ルドは予想に反して可愛らしく綺麗な声でエトワールもよかったですよね。そうはいっても、正直、「次の娘役トップが月影瞳なの?」と疑問符がついたのは確かです。だって全然麻路さきと似合ってないですもん。
月影瞳は何ていうか、色気もないし硬い感じがするんですね。だから「グンちゃん」だというわけですが、頼りないタイプの相手役なら力を発揮するでしょうけど、そうでないとなかなか・・・
たった1作のみのコンビだった「誠の群像」も意味不明な役でしたし、ショーでも脇扱いで気の毒は気の毒。
でも、雪組への組替えが結果的に月影にとってよい結果だったのですから、よしとしましょう。
星奈優里
1990年 → 76期として入団。同期は風花舞・彩輝直。
1991年 → 星組配属
1994年 → 雪組に組替え
1997年 → 麻路さきの相手役として星組組替え・娘役トップに就任
1998年 → 稔幸の相手役となる
2001年 → 退団
恥ずかしながら結構あとまで、星奈が星組出身だと知らなかったんです。じゃあ、あの当時(例えば「紫禁城の落日」の頃)白城あやかに花總まりに星奈優里と信じられないくらいゴージャスな娘役陣だったんですね。
今、昔のビデオを見ると星奈優里は、目が大きくてダンス力がある個性的な娘役として映っています。雪組時代、「JFK」のマリリン・モンローが代表作と言われていた時もありますが、個人的には「硬さが残る娘役」でした。
1996年「エリザベート」のマデレーネの美しさは誰も超えることが出来ていませんし、1997年「仮面のロマネスク」のトゥールベル夫人の「よろめき」度はこれまた超える人が現れていません。その理由はなんといっても彼女の身体能力の高さというか、身体の柔らかさにあるのではないでしょうか?
彼女が星組に返り咲いた時は本当に嬉しかったですね。ビジュアル的に麻路さきとぴったりだったし、彼女の「守ってあげたい」と思わせる風情がよかったかなと。
「ダル・レークの恋」のカマラは硬い演技ではありましたが、あのコスチュームが本当によく似合っていて特にフィナーレの真珠の衣装は素晴らしかったです。帝劇で公演中、ベッドシーンに至る部分でどてっと転んだことがあるんですけど、その時、麻路が顔色も変えずに星奈をひっぱりあげたことを鮮明に覚えています。
星奈優里だったらきっと「オーム・シャンティ・オーム」のシャンティも見事だったでしょうね。
星奈は元々かつらのセンスが抜群といわれていましたが、彼女が後ろ姿をみていたおんは白城あやかで、彼女に追いつこうと必死だったんだそうです。見事に花開いたなと思います。
1999年「WEST SIDE STORY」のマリアを演じたのですが、月組では泣かなかったのに星組では号泣してしまった私。その理由はひたすらマリアが可哀想で仕方なかったというところ。
つまり彼女は本当に「守ってあげたくなる娘役」で「わが愛は山の彼方に」の万姫の役でも良く泣かせてくれたなと思います。
同じく1999年の赤坂ACTシアターでの「Love Insurance」は今までにない役柄で、こんなに強くてからっとしている役も出来るんだと思ってびっくりした記憶があります。
2001年「花の業平」の高子はすっぽりと業平の袖の中に入ってしまう美しさに圧倒されました。ショー「夢は世界をかけめぐる」も傷ついた蝶が見事な羽を伸ばす姿や、パンツスタイルで踊る姿の美しさにうっとりしました。
「大地の舞」と呼ばれた風花舞、そして「ふわふわ浮くようなダンス」と言われた星奈優里。その軽さは「ヘミングウエイ・レビュー」の銀橋でのピルエットや、「グレート・センチュリー」でのビアソラのダンスなどで発揮されてきましたが、「夢は世界を・・・」が集大成だったのかなと思います。
それだけに退団公演が「ベルサイユのばら」というのは残念で仕方なかったです。彼女にはぜオギーでショーをやって欲しかったです。