「どうして愛子様が天皇じゃいけないの?」
「皇位継承権がないからよ」
「どうしてないの?」
「どうしてって・・・皇室典範でそう決まっているから」
「そんなの男女平等じゃないでしょ。21世紀なんだから女性天皇も認めるべきなんじゃない?愛子様は天皇の長女なのに天皇になれないなんて可哀想」
「可哀想と言われても」
「日本は女性の国会議員も少ないし、閣僚の数だって世界の中で最低ラインだよ。日本は元々男尊女卑なんじゃない?天皇が男だからなんじゃない?」
「女性の地位の話は置いておいて」
「うん」
「皇室が2000年以上続いていて、世界最古の王家だという事は知ってる?」
「へえ、そうだんだ。てっきりイギリスが最古かと思ってたよ」
「世界史不得意なの?今のイギリス王室はウインザー家だけど、ヘンリー8世の時代はチューダー朝。王朝が入れ替わったり王様の人種が変わったりしている。でも日本の天皇家は一つの血筋で2000年続いているんだよ」
「知らなかった。でも中国4000年の方が長くない?」
「あのね、中国は清朝(満州族)その前は明(漢族)その前は元(モンゴル)というように頻繁に入れ替わってる。中国共産党が政権をとってからもたかだか半世紀」
「そう考えると天皇家ってすごい。みんな血が繋がってるの?」
「まあそう。いうなれば一本の糸で繋がってる感じ」
「でもその中には8人10代の女帝もいたじゃない」
「8人10代の女帝と他の天皇に共通していることがあるの。それは「お父さんが天皇」ということ」
「なるほど。でも愛子さまだってお父さんが天皇じゃない」
「確かにそう。でも2000年の歴史の中で登場した8人10代の女帝だけの特色があるの。それは「結婚しない」「子供を産まない」こと」
「それってセクハラ」
「古代にセクハラも何もあるもんですか」
「推古天皇とかって子供いなかったの?」
「いたよ」
「え」
「初代・推古、2代・皇極(斉明)4代・持統までは天皇の大后で未亡人。5代・元明天皇は皇太子の妻で未亡人。6代・元正から7代孝謙(称徳)9代・明正、10代後桜町までは天皇の娘で独身」
「つまりもし愛子さまが天皇になると独身じゃないといけないの?でも、テレビとかヤフーニュースでは愛子様の旦那さんになる人にも陛下と呼ぶとか何とかいってる」
「だけどそれは前例がないことなのよ。どうして女帝が子供を持ってはいけないかというと、先の天皇の子供達、つまり女帝が大后時代に生まれた皇子達の皇位継承争いが絶えないのに、そこに「お母さんが天皇」という子供まで加わったら大変な事になるから。
そもそも、女帝が選ばれる時というのは、天皇に皇位継承権を持つ男子が何人もいたにも関わらず、し烈な争いが絶えず国が収拾がつかないので天皇の妻、あるいは娘を一時的に天皇にする事で「次世代の皇子」を選別するという知恵なのよ。それがずーーっと続いて「お父さんが天皇」という天皇が続いた事でそれが「伝統」となったの」
「伝統かあ。でも21世紀に伝統って必要なのかな。時代にそって変えていく事もひつようじゃないの?」
「皇室は2000年の中で皇位継承の在り方も随分変わって来たのよ。だけどただ一つ「お父さんが天皇」の血筋だけは守り通して来た。つまりこれはただの伝統ではなく「血の正当性」だよね。皇族の血を引かない男子は排除すると言った方が早いかな。これって男尊女卑に見える?」
「皇族でない男子を排除する・・・ううん。男尊女卑じゃない。お妃様は皇族じゃなくていいんでしょ?お父さんが天皇を守るのは、そうでない男子を排除することなのか」
「その通り。だから愛子さまが天皇になっても絶対に結婚は出来ないし子供は持てない。そしたら皇室は潰れるよ」
「そっかーー」
「明治になった時、日本は海外の王室の在り方などを参考に皇室典範を作ったのね。イギリスとかドイツとか。キリスト教の国では側室は認めない。だから女性でも王になれる。
オーストリアは女帝を認めていなかったけどね。
それで日本でも女性にも皇位継承権を与えようという動きがあったの。でも、歴史をひっくり返してみたらみんな未亡人か独身で、これから内親王に皇位継承権を与えると結婚出来なくなっちゃう。それは可哀想だから最初から皇位継承権を与えない事にしたのね。
わざわざ皇室典範に「男系男子に限る」と書いてあるのは「お父さんが天皇である皇子」でなければ天皇になれない決まり。明治の時に関わった伊藤博文などは天皇家の存在意義というのは「お父さんが天皇」である血筋そのもので、それがなくなったらそれはもう皇室とは別物だという危機感があったのよ。
男系を守る為に、幕末から傍系の親王の宮家創設を認め、明治時代には内親王と皇族男子を結婚させて宮家を作り、皇位継承権を持つ親王を増やしたの。そこまでして「お父さんが天皇」である事は絶対だったのよ」
「じゃあ、何で今、愛子様を天皇にしようという運動があるの?」
「それは愛子様のおじいさん、つまり雅子さまのお父さんの野望なの。彼は自分が「皇后の父にして天皇の祖父」として奉られたいと思っている。彼だって本当は雅子さまに男子を生んで欲しかったんだよ。その証拠に愛子様が生まれた時、小和田夫妻はお通夜のような記者会見をしたのを覚えてる。しかも雅子さまは次の出産にNOを突き付けた。だからこうなったら秋篠宮殿下がいようと何しようと絶対愛子様を天皇にしてやるって思ってるわけ」
「話がすごい。嘘みたい」
「嘘みたいな本当の話」
他に質問は?