よし坊のあっちこっち

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澤穂稀のアメリカ (3/4)並み居る強豪達とW杯

2011年07月28日 | サッカー
プロリーグの各チームには、それぞれに有力な選手がおり、澤も大いにてこずったことだろう。その中でもワシントン・フリーダムのエースFW、アビー・ウォンバックとドイツの花形、当時カロライナ・カレッジに所属したバージット・プリンツは突出した選手だ。

アメリカのウォンバックは、今回のW杯決勝戦の延長前半で2点目をヘディングで叩き出して、その強さを見せ付けた。レジェンドのミア・ハムの後継者でもある。

プリンツについては、忘れられないエピソードがある。顔を見れば、実に愛らしい顔をしているプリンツが、ビートとの試合に登場した。試合が始まるや、その重戦車のような、しかし敏速な走りで、ビートのゴールに迫る。ビートもタジタジとなる。そのうち、プリンツがボールを持つと、スタンドからブーイングのようなものが起き、怒号に近い、汚い言葉が発せられるようになった。「この男おんな」。髪をショートカットにしており、遠くから見たら、なるほど、女子に混じって男がひとり、獅子奮迅の戦いをしているようにも映る。それにしても酷いブーイングだ。この国の根深い人種差別の一面を見ているようであった。そんな事も影響したのか、彼女は一年でアメリカを去った。

2003年、中国でやるはずの女子W杯が、SARSの影響で急遽アメリカ開催に変更された。アメリカでのW杯など、滅多にチャンスは無い。しかも、日本も出場するとあっては、駆けつけない訳にはいかない。予選ラウンドの日本対ドイツ。負けは覚悟だ。しかし、この好カードを見逃す手は無い。9月24日のオハイオはコロンバスでの対戦。チケットを手に入れ、ワイフと二人、車で早朝出発し、約9時間の旅に出た。

応援の甲斐もなく、3-0の完敗だ。やはり、プリンツが日本の前に立ちはだかった。今回のW杯で活躍したゲアフレカスもいた。たまたま隣の席にアメリカ人夫と日本人女性の国際カップルが応援に来ていたので言葉を交わした。土地の人かと思ったら、日本から駆けつけたというではないか。二人ともサッカーフアンだが、日本では、こんな盛況は女子サッカーでは有り得ないと、ビックリしていた。このご夫婦は、今回のドイツW杯にも駆けつけてたのではと、ふっと思う。

2003年のW杯も終わり、そして、女子プロリーグWUSAも資金難から、創設3年で幕を閉じる事になる。

澤のW杯への挑戦も予選ラウンド敗退で終わった。道のりは険しい。

(写真はドイツのプリンツ)