よし坊のあっちこっち

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キャプテンマークが泣いている

2015年06月21日 | サッカー
リーダーと名が付けば、我々はそれなりの人物像を持ち期待もする。スポーツの世界のキャプテンも典型的なリーダーで、概ね相応しい人が指名される。と言っても指名された時点で完璧なリーダーと言うのは少なく、器量とか将来性を買われての指名も多い。未熟であっても自覚と自己研磨で成長していけば、自他共に認められるリーダーに育っていくものだ。

先日、サッカーで立て続けに二つの不祥事があった。二つともレッドカードに加えて数試合の出場停止処分である。アメリカを代表するクリント・デンプシーとブラジルを代表するネイマールに起こった。

アメリカのナショナルチームのキャプテンでもあるデンプシーが、所属するクラブチームの試合で、主審の判定に腹を立てて、主審が落としたレフリーノートを拾いざま破り捨てると言う暴挙に及んだ。これで単なるレッドカードの話ではなくなった。審判に対する物理的かつ侮辱的攻撃及びその持ち物に損壊を与えた場合、ペナルティは重く、場合によっては数か月とかシーズンの出場停止となる。しかし、協会は3ゲーム出場禁止の処分とした。この軽い処分に対し、賛否を問うネット投票では半分以上が”軽すぎる”と判定している。協会の意図は明白で、これからロシアW杯に向け北中米選手権(Gold Cup)が始まるからだ。注目すべきは、ナショナルチームの監督クリンズマンがどう動くか。関係者の興味はそこにある。私生活の姿勢にも厳しいクリンズマンのことだから、これを機会のデンプシーのキャプテンマークを外す事を期待したいが、もし再びマークを付けさせる決定をするならば、クリンズマンの一貫性は完全に崩れてしまう。マイケル・ブラッドレーが復調した今、彼が最も相応しいだろう。

コパ・アメリカ(南米選手権)が始まり、宿敵の強豪ブラジルとコロンビアが激突した。大白熱戦の末1-0でコロンビアが勝ったのだが、フラストレーションの頂点にあったキャプテンのネイマールは終了と同時にボールを腹立たし気に蹴り、それがコロンビアの選手を直撃した。更にロッカールームへ行く途中、主審を待ちかまえ暴言を発したのが判明した。その暴言は「お前は(有名な)オレ様をイジクルことで有名になりたいんだろう」。驕り発言としか言いようがないが、協会は何よりも審判に対する侮辱発言を問題にした。そして重い4試合出場停止の処分を下した。事実上ネイマールの南米選手権は終わったのである。若干23歳にしてバルサで活躍しブラジルナショナルチームのキャプテンを務める。若いから大目に見てやれと言う意見も結構ある。しかし、ある専門家は若さではなく、彼のサッカー人生のアンバランスな成長過程が未熟さを生んでいるという。

天賦の才能を与えられたネイマールのサッカーはストリート・サッカーから生まれたと言われている。文字通り街角でボールを蹴りドリブルを磨く。サッカーにはレフリーが居ることなど頭にない。年と共に進化するサッカー技術は他の追随を許さなかったはずだ。ルール無し、審判無しでやりたい放題のサッカー、それがストリート・サッカーの本質だという。願わくば成長する過程で本来のサッカー教育が必要だったのだろうが、それが無かった。今でも彼に苦言を呈する人が居ないのではと言われている。

デンプシーもネイマールも自分の不甲斐なさに腹を立て、暴挙に及んだのだろうが、キャプテンマークを付ける者はそれを乗り越える資質を磨かねばならない。当分自らマークを辞退するくらいの気持ちが無いといけないだろう。