よし坊のあっちこっち

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RAIZO - ある殺し屋

2012年10月08日 | 映画
仕掛針で始末する。言わずと知れた殺し屋、藤枝梅安のトレードマークである。時代劇の定番のひとつで、あのテレビの人気シリーズ「必殺」も始まりは梅安だった。

時代小説の時代劇、池波正太郎の手になるこの闇のヒーロー藤枝梅安は、それ以降も何人もの俳優によってドラマ化されてきたが、ちょっと待て。池波正太郎のちょっと前に、既に藤原審爾の手によって、現代劇の世界で針を使った闇の仕掛人を世に送り出している。発想という点からみても価値のある題材だし、その原作を基にした「ある殺し屋」と「ある殺し屋の鍵」も映像の世界では価値のある作品、エポックメイキングな作品ではないかと思う。

前作では料理屋の主人、後作では踊りの師匠と、なんの変哲も無い正業を営む。そして、現代劇では何の変哲も無さそうな雷蔵、その雷蔵がファンにはたまらなくよいのだ。

女優陣では、野川由美子が、歯切れのよい、オキャンな役どころで良い。この女優にはこういう役が良く似合う。久しぶりに昔の佐藤友美に出会えるのもいいもんだ。

二作とも良いが、どちらがより好きかと言われると、二作目の「鍵」の方だろうか。特に最後のシーン、コインロッカーの金を取り損ねるシーンだ。カメラの望遠レンズで、人ごみの向こうのコインロッカー50番を見る。警官が扉を開け、大金を確認する。「こんな事もあるか。次がまたあるさ」とでもいう顔で、鍵を放り、フェイドアウトする雷蔵。



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