野球というのは愉しいスポーツである。チィーム人数が9人で、それだけ偶然性が高まるから勝負の行方が不確定だ。それに、体力や技術を必要とするのは、ピッチャーとキャッチャーくらいだから、どんな人でもゲームに参加することが出来る。日本人がみんなで愉しむにはもっともふさわしいと思える競技である。そのせいか、高校野球の人気は高い。
夏、〈高校・野球〉のシーズンである。が、今年はオリンピックと重なり、例年通りの盛り上がりは期待できそうにない。
しかし例年、朝日新聞とNHKは、なぜあんなに高校野球に熱をあげるのだろうか。かつて新聞の普及時、イベントとセットにして読者を獲得してきたパブリシティは、現在ほとんど無効になっているのではないか。高校野球のために新聞を購読する人なんていないし、NHKだって視聴率があがる訳ではあるまい。
ならば、なにが高校野球を支えているのか。NHK得意の、故郷を離れた、二三男坊の、郷土愛なのか。だが、そんなものを、純真な高校生に仮構し、情動を煽る時代はもうとっくに終了していると思うのだが。
それはそれとして、高校野球全国大会(甲子園大会)のスケジュールほど、スポーツをないがしろにしたものはない。
たった1球場でトーナメントの全試合を消化するというのは、だれが見たって異常である。まず、1日4試合という使用に耐える球場の管理は不可能だということ。ピッチャーのプレートは通常一試合でガタガタになる。打席も同じである。そんな場所で正常なプレイは不可能だ。
阪神地域で分散して開催し、大会日数を縮め、選手の負担を軽くすること、そして休養日を与えることが必須だ。ピッチャーの連投等あってはならない。
こんなことはスポーツマンならば誰でも知っている。ところが、これが放置され、準々決勝から、決勝まで3日連投ということが起こっている。
スポーツを愛する人にとっては哀しいことである。(続く) 【彬】