アラブの春を経てしばらくたつ。これからのアラブ世界はどう変わるだろうか。
話が大きすぎる?…だろうか。
広いアラブ世界の中の、北アフリカの西の果てのモロッコ。映画ファンには、往年の名作「モロッコ」「カサブランカ」でご存知だろう。古いイスラム文化をよく残している国と言われるが、7世紀以降イスラム教の布教に伴うアラブ人が移住する前の先住民は、ベンベル人。今でもベンベル文化を残し、モロッコ固有の農産物として、アルガンの木の実の種からとれるアルガンオイルがある。最近、ヨーロッパの料理人達に見直されているというが、物好きな私には大変興味があった。
その作り方が面白い。
アルガンの木にヤギを登らせる。ヤギは木の実を食べ、種を吐き出す。その種を拾い集め、胚を取り出し、炒って香りをつけ、石臼で轢きオイルを搾り出す。手間がかかり大変高価である。
昨年、友人が旅行した際、無理を言って土産として買ってきてもらった。たいへん美味である。
このイスラム時代前からの香りが、この地域を支配してきた古代ローマ、ペルシャ、イスラム、トルコなど幾層にも重なる歴史を超えて、これからの複雑な世界とどう交わっていくのだろうか、という想像の糸を引く。【岩下賢治】
管理人から
偶蹄類のヤギが木に登れるだろうか。そういう噂なんだろうけど、岩下さん、ちょっと調べてください。