卯の花
私の知り合いや何人かのイデオローグの言説を見ると、例えば内田樹のように
今年の日本はどうなるのか。
「いいこと」はたぶん何も起こらない。
「悪いこと」はたくさん起こる。
だから、私たちが願うべきは、「悪いこと」がもたらす災禍を最少化することである。
というように、絶望的なものが散見される。本当かいな、と揶揄したくなる。
人のことより自分の身の回りのことを虚心に思えば、状況はそんなに悪くはない。正月は
くらいで丁度良いのだ。
私は、賀状には、芭蕉のお伴で、東北から北陸までを同行した曽良の句を引いて、次のように書いた。
卯の花を かざしに関の 晴着かな 曽良
いよいよ白河の関を越そうという時の曽良の気持ちのこもった歌です。困難な旅路の中、この由緒ある峠を、いざ越さなむという質素ながら晴れやかな矜持が伝ってきます。
卯の花は夏の花ですが、新しい門出にふさわしい情景なので、新年のご挨拶に付けさせていただきました。
本年もよろしくお願いします。【彬】