絵=私のお正月の食膳
最近、知人を含め、何人かが自宅内でつまづいて、骨折したという知らせがあった。道路や階段でころんだというのではなく、自宅での事故だというのが、すごく気になることである。それぞれ個別の理由があると思うのだが、想像するに、床に置いた荷物に引っかかったのだと思う。マンションタイプの集合住宅の中で、年配の人が生活するには物が多すぎる昨今である。断捨離などという言葉を使う人がいるが、物を捨てられずに、つい床に放置するというのが、転ぶことにつながっているのではないか。
人には目線というのがある。小さな子供は上に視線が届かないから、テーブルや引き出しなどによく頭をぶつける。反対に年寄りになると、こごむのが億劫なものだから、足元に視線が届かないようになる。荷物はなるべく目の高さに置けば良いのだが、そういうスペースは現在の居住空間にはない。食卓などのテーブルの脇に物入れ用のラックなどを掛けるとか、壁に棚など取り付けられればよいのだが、と思う。老人向けにそういう家具部品の開発が望まれる。
と同時に、転ぶというのは筋肉の衰えだから、防ぎようがないのだが、足の感覚を敏感にしておくことが大事なことのように思う。そのためには素足で動くとよい。寒い最中でも暖かい時間をみつけ、小一時間でも素足で活動したい。靴下やスリッパを履くとどうしても感覚がにぶるのである。まわりまわってそれがけつまづく遠因になっているような気がするのである。
私がそのことに気がついたのは、ランニングシューズを素足ではいた経験による。素足だと身体の動き全体が、足裏にビビットに伝わってくるのである。(ただ長時間だとマメをつくったり、いろいろな弊害がでてくる)身の回りや環境に気を配ることと同時に、自分の足の感覚を大事にすることが、家庭内の事故を防ぐひとつの方法のように思うのである。 【彬】