風薫る5月。新緑の美しい季節。
以前、ランニング練習で公園や自然の中を一生懸命走っていた頃は、遠く、森や林に視線が向むいていた。最近は、スローランニングを楽しむこともあり、視線はひとりでに道端に向く。野草というか雑草というか、極めて多種多様の草花を観る。これらを観察するのが実に楽しい。
道端での植物観察に興味を持ちだしたのは、昨年まで住んでいた茨城時代から。ランニングコース沿いには、フキノトウ、ツクシ、稲の花、秋には、アケビの実がぶら下がる。東京に戻ってからは毎日最寄り駅から自宅に続く道を歩く。それに沿い帯状の空き地が伸びる。ここできわめて多種の野草が観られる。ところが名前の知らないものが多い。庭にあるような花や植木は知っているが、これら野草には疎い。空き地の圧倒的多数の植物はこれら野草・雑草の類なのだからもう少し知識を持っている方が楽しい。よく見るとこれらは個性的で美しい。
ところで、大きくキレイな花は、昆虫の手助けで受粉するものが多いだろうが、小さな野草の花は風による自家受粉が多いと思う。何か人間臭いところがあり面白くもある。キレイな女性は虫がつきやすい、ということで。
NHKの朝ドラ、「トト姉ちゃん」。帝大の植物分類学を研究する学生が新種の植物を求め奮闘する。5月6日放送で、ゼラニウム・カロリニアムという外来種を国内で新発見するか、のシーンがありました。これも言うなれば野草・雑草ではないでしょうか。新種の発見、分類、という地道な学問はこのドラマのようなところがあるのかと興味深く拝見しました。
そんなことで「道端の野草・雑草」観察しながら、最近は植物以外でも自分の身の回りで、普段は見過ごしているが知ると楽しいことが沢山あるのではないか、と思うようになっています。
絵は最寄り駅から自宅までの、野草に覆われる空き地の風景。
2016年5月7日 岩下賢治