2019年7月4日付け、自分のブログ「18世紀ドイツの旅から帰る」の続きになります。
ゲーテの、Die Leiden des jungen Werther、「若きウェルテルの悩み」を昨年暮れから読み直し、今終わりに近づいています。ドイツ語はムズカシク、表現方法はスバラシク、何度でも読みたくなる作品です。
ところで、終わり近くに、ウェルテルがロッテに、「オシアンの歌」を詠んで聞かせる段がある。この「オシアンの歌」は18世紀のスコットランドの作家ジェイムス・マクファーソンが、古代スコットランドの英雄譜を長編叙事詩として1760年に紹介したもので、その内容が悲劇的で幻想的で美しく、ヨーロッパ中で大変評判になり各国語に翻訳され、ナポレオン、そして、ゲーテ、やシラーなドイツロマン派の作家に愛読された。ゲーテはこれをドイツ語に訳し発表した。ウェルテルが詠んで聞かせる詩は、7ページにわたり披露されている。僕は、何故、ウェルテル、つまり、ゲーテが、この「オシアンの歌」にこだわるのか解らなかったが、その後いろいろ調べると執筆当時のゲーテの心理状態は、まさのこの歌にある、夢想、憐憫の情、と同じであったようだ。
ところで、人を魅了する、文芸作品、絵画、の多くは幻想的な表現方法、つまりファンタジーの要素をもっているようだ。ゲーテといえば、「ファウスト」だがこれもファンタジーの表現方法をとっている、と思う。
現在では、文芸作品のみならず、ヒットする映画作品はずばりファンタジーが多い。ジブリのアニメ。スターウォーズ。アナと雪の女王、・・・・など。絵は、古代スコットランドの盲目の詩人オシアンが娘のマルヴィーナに物語を聞かせているところ。マルヴィーナはこれを後世に伝えていく。
2020年2月22日 岩下賢治