ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

遮断された世界と民主制

2020年03月21日 | 日記

ムラサキシロツメグサ

 中国武漢から始まったコロナウイルス、その伝播の素早さは現代社会の交流の激しさのバロメーターであり、一ヶ月ちょっとのうちに全世界に蔓延した。それほど猛毒性を持っているとは思えないのだが、各国は臨戦体制だとか、国境を封鎖したり外出を抑制するよう求めている。こうした対応の速さも世界共通で、IC化で情報が即座に伝わる今日のグローバル化した社会を反映していよう。

 日本の場合、気になるのは今回制定された特別措置法である。

 新型ウイルスの蔓延については、従来の法的執行の不備を補う法案が与野党で合意、政権は状況を見て、各種対策を法的に執行することができるようになった。

 毎日新聞によると「改正により、新型コロナウイルス感染症の全国的かつ急速なまん延で、国民生活・経済に甚大な影響を及ぼすなどした場合、首相が地域を示して「緊急事態宣言」を発令できる。対象地域の都道府県知事は、不要不急の外出自粛や学校、興行施設の使用制限などを要請・指示できる。」「特措法は旧民主党政権時代の2012年に成立した。私権の制限を伴うため、立憲など野党は、緊急事態宣言を出す際は、やむを得ない場合を除き、国会に事前報告することなどを盛り込んだ付帯決議を行うことで賛成にまわった。」とされている。

 新聞が指摘しているように、この法案で懸念されたのは、私権が制限されるのではないか、というものであった。野党は事前報告を条件にこの懸念を引っ込め合意したが、しかし私権は公共の福祉のもとではいつでも制限されているので、緊急事態下で制限されて当然である。例えば火災が起きた時、隣接する住宅は消防隊が延焼を食い止めるために、自由に立ち入りでき、必要な対策を立てる。私権などと言っていられる状態ではないのと同じである。

 私は、この法律の問題点は、発動する際の手続きであると思う。執行者は行政のトップ=首相になるが、いかなる場合でも国民の代表たる議会の承認を得ることが民主制の鉄則だ。したがって単なる報告ではなく議会の承認が必要である。緊急時にそんな焦ったい事していられるか、と思うかもしれないが、この承認なしには民主主義は成り立たない。この手続きのために対処が手遅れになって国が壊滅した、という事態がありうるかもしれないが、もしそういうことがあれば、それは民主主義の限界なのだ。いまのところでは、民主主義を超えるベストな政治制度が存在していないので、それは甘受しなければならないのである。

 それを防ぐためには国会はどうあるべきか、今回の機会に十全に検討されるべきであった。行政責任者に権限を丸投げしたのでは、何のための議会なのか、と疑いたくなる。私は行政と議会が同時進行で事態に臨む体制を組むことが不可欠だと思う。そのためには具体的にどうするのか、それこそ国民の代表たる議員が知恵を絞るべきことなのである。【彬】

 

 

 

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